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  1. 青森県議会 2004-04-07
    平成16年全員協議会  本文 開催日: 2004-04-07


    取得元: 青森県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-08
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1 ◯上野議長 ただいまより議員全員協議会を開催いたします。  去る三月三十一日、知事より、日本原燃株式会社六ヶ所再処理施設の総点検に係る報告について議員全員協議会を開催されるよう要請がありましたので、本日開催した次第であります。     ───────────────────────       ◎ 知事等の報告、説明     ─────────────────────── 2 ◯上野議長 知事の報告を求めます。──知事。 3 ◯三村知事 本日、県議会議員全員協議会の開催をお願いいたしましたのは、日本原燃株式会社六ヶ所再処理施設の総点検結果について国及び日本原燃株式会社から報告がなされたことから、その内容について御報告し、御意見をお伺いするためであります。  平成十六年三月三十一日に、日本原燃株式会社佐々木代表取締役社長から本職に対して再処理施設の総点検に係る報告がありました。また、四月一日には、経済産業省原子力安全・保安院の薦田審議官から、日本原燃株式会社が実施した品質保証体制点検結果報告書に対する国の評価について報告がありました。  日本原燃株式会社からは、施工上問題のある溶接箇所が見つかった使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の補修を行い、平成十六年一月二十八日、国から使用前検査の合格証が交付され、健全なものに復旧したこと、品質保証体制点検については、設備及び建物の健全性の確認を書類点検、現品点検で行い、施設全体の健全性に問題のないことを確認したこと、また、品質保証体制については、反省点が五点抽出され、社長みずからが先頭に立って全社を挙げて改善に取り組み、県民の信頼回復に最大限の努力をすること、原子力安全・保安院からは、日本原燃株式会社が実施した点検、補修等は妥当であり、再処理施設の設備等の健全性は確認されたが、品質保証体制については改善すべき点があり、今後、改善策が確実に実行され、それをフォローアップしていく必要があるとの内容でありました。  県としては、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設のプール水漏えいに始まる一連のトラブルに関連して、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設での不適切な施工、それに対する補修の実施、また品質保証体制の点検を行わざるを得なくなったことは極めて遺憾であります。  さきの県議会議員説明会において、国及び事業者から議員の皆様に再処理施設の総点検結果や国の評価について直接御説明したところでありますが、本日はこの県議会議員全員協議会において、県民を代表する議員各位の御意見をお伺いしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いいたします。  以上、御報告といたします。 4 ◯上野議長 次に、日本原燃株式会社から、六ヶ所再処理施設の総点検に係る報告について説明を求めます。──佐々木社長。 5 ◯佐々木日本原燃社長 日本原燃の佐々木でございます。  本日は、県議会議員の皆様方におかれましては、大変お忙しい中、改めましてお時間をいただきまして、まことにありがとうございます。  また、日ごろより当社事業に対しまして特段の御指導、御支援を賜りまして、心から感謝申し上げます。  初めに、当社の使用済み燃料貯蔵プール水漏えいに端を発しました諸問題につきまして、長期間にわたり、県議会議員の皆様、さらには県民の皆様に多大なる御心配をおかけいたしました。この場をおかりいたしまして、改めまして深くおわび申し上げます。  さて、四月二日は長時間にわたりまして再処理施設における総点検結果につきまして御報告させていただきましたが、本日は、御質疑に先立ちまして、後ほど再処理計画部長の鈴木よりその要点を御説明させていただきます。  先般御報告させていただきましたが、今回の品質保証体制の改善策が有効に機能し、しっかりとしたものとして確立していくための基本といたしましては、四つの改善策のうち先頭に掲げましたトップマネジメントによる品質保証の徹底が極めて重要でございまして、かつ基本になると考えておるところでございます。  このため今後、私自身が設定いたしました品質方針のもとに、協力会社を含むすべての社員に品質保証を徹底させるとともに、品質保証計画の立案、実行、評価、改善といったサイクルが経営として確立いたしますよう努力を傾注してまいる考えでございます。
     最後になりますが、今後当社といたしましては、今回の点検で明らかになりました反省点を踏まえまして、品質保証体制の改善策を着実に推進するために、決意を新たに、全社一丸となって取り組んでまいる所存でございます。  県議会議員の皆様方におかれましては、引き続き特段の御指導、御支援を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。  それでは、再処理事業部長の鈴木より要旨を御報告申し上げます。 6 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 再処理計画部長の鈴木でございます。引き続き私の方から説明させていただきたいと思います。  本日準備させていただきました資料でございますけれども、この緑色のファイルの中に報告書、それから、報告書は非常に量が多うございますので、その要旨をまとめました「再処理施設 総点検結果について」という資料を用意させていただきました。私の方から、この「再処理施設 総点検結果について」という資料を用いて御説明させていただきたいと思います。  緑色のファイルを開いていただきたいと思います。  まず最初に目次をつけてございます。一番目が…… 7 ◯上野議長 部長、説明は先般もやっておりますから、簡潔にしてください。 8 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 わかりました。  資料は、まず報告書を用意してございます。  説明資料「総点検結果について」の方を一枚めくっていただきたいと思います。  〔太田議員、議事進行について発言を求める〕 9 ◯上野議長 ちょっとお待ちください、今議事進行が出ておりますから。──太田議員。 10 ◯太田議員 申しわけありません。時間を有効的に活用するために皆さん方はこの点検資料を前もって我々に配付しているわけですよ。我々は何も勉強していないわけでないんですよ。だから、これを省略して、そこで意見交換に入るようにやらないと……  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 11 ◯上野議長 ただいまの太田議員の御発言のとおりにしたいと思いますが、御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 12 ◯上野議長 では、そのようにいたします。説明は省略いたします。  次に、日本原燃株式会社から提出された品質保証体制点検結果報告書に対する国の評価について、経済産業省原子力安全・保安院から報告を求めます。なお、簡潔にしてください。 13 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 原子力安全・保安院の審議官をしております薦田でございます。  本日は、大変お忙しい中このような時間を割いていただきまして、まことにありがとうございます。  御存じのように、日本原燃株式会社の提出いたしました再処理施設品質保証体制点検結果報告書に対します当院の評価書が、この三月三十日に開催されました総合資源エネルギー調査会の六ヶ所再処理施設の総点検に関する検討会において基本的に了承されたところでございまして、また、翌三十一日には原子力安全委員会に報告したところでございます。  この総点検の発端となりました原燃再処理施設PWR燃料貯蔵プールにおきます漏えいが確認されてから二年以上経過したところでございます。これ以降も、非常に多くの不適切溶接施工の発見であるとか、ウラン脱硝建屋での不適切なシール部材の使用によります硝酸漏えい等、原燃の品質保証体制の不備に起因いたします多くのトラブル、ふぐあいが発生してきたところでございます。また、一昨年八月には東京電力の自主点検記録に係ります不正事案が生じるなど、皆様方におかれましては、原子力施設への信頼を裏切り、あるいはまた長期間にわたり大変御心配をおかけしてきたものと存じておるところでございます。心からおわび申し上げるところでございます。  今回の品質保証体制点検というのは、このような状況の中で、この再処理施設全体が設計どおり適切に建設、施工されているのだろうか、もう一つ、今後原燃は、ウラン試験、さらには次の試験ステージに入っていくわけでございますけれども、原燃はこれを行うのに十分な品質保証体制というものが確立されているのかという二点を検証するために行ったものでございます。  そして、この点検、検証に当たりましては、国といたしまして先ほど申し上げた検討会を設置いたしまして、今ここにいらっしゃいます神田先生に主査をお願いいたしまして、そのほか、原子力、再処理、あるいは品質保証、法律、消費者、マスコミ等非常に幅広い分野から委員をお願いいたしまして、これまで検討会はすべて公開で運営してきたところでございます。  昨年九月に第一回をやりまして、この三月三十日まで十一回もの検討会を開催したところでございますが、この間、地元の視察も含めまして極めて活発な議論がなされてきたのではないかというふうに思っているところでございます。  当方のこの評価書の結論というのは、今、知事からも御報告がございましたように、非常に簡単に申し上げれば、再処理施設が設計どおりに適切に施工されている点からの健全性につきましては、現時点において全体として確認されているということでございます。もう一つ、事業者の信頼性となります品質保証体制につきましては、仕様に幾多の問題点というのが浮き彫りにされまして、今回原燃から非常に多くの改善策が提示されたところでございます。  しかしながら、このシステムについては十分立派なものができ上がっているというふうに思いますけれども、これに本当に魂が入っているのかということにつきましては、今後国の方でしっかりとフォローアップしていかなきゃならないというのが結論であったわけでございます。  今後、原子力安全・保安院といたしましては、今申し上げましたように、このフォローアップを通じ、あるいは、まだ残っております使用前検査、あるいは施設定期検査というものを通じまして、この再処理施設の安全に万全を期していく所存でございます。よろしくお願いいたします。     ───────────────────────       ◎ 知事等の報告、説明に対する質疑     ─────────────────────── 14 ◯上野議長 これより、知事、日本原燃株式会社及び国の報告及び説明に対する質疑を行います。  質疑は、お手元に配付の質疑順序により一問一答方式で行います。  持ち時間終了の十分前及び終了時にチャイムにより時間を通告いたしますので、御協力願います。  なお、質疑は発言席で行い、答弁者は挙手の上、議長と呼び、次に職名を言って発言を求めてから自席で答弁してください。  また、質疑は持ち時間制でありますので、答弁される方々は簡潔な答弁をお願いいたします。  それでは、滝沢求議員の発言を許可いたします。──滝沢議員。 15 ◯滝沢議員 自由民主党の滝沢求でございます。  日本原燃株式会社使用済み燃料受け入れ貯蔵施設プール水漏えいに関してこのような全協という場面で協議するのは今回二回目であります。前回の平成十四年十二月二十六日には、プール水漏えいの原因判明を受けての質疑でございました。そして今回は、日本原燃が二年間の長きにわたって点検、補修を終えて、国の評価を受けての議論であります。  しかしながら私は、この間県民が日本原燃に対して積み重ねた不安、不信というものを払拭するのは極めて困難ではないか、そう思うのであります。  先般、日本原燃の佐々木社長がこの結果報告で三村知事を訪れた際、知事は社長に対して、あいた信頼の穴はステンレスでは埋められぬ、そう申されたようであります。私も知事と全く同感であります。  今、日本原燃に対して県民が求めているのは、しっかりと日本原燃が変わったその姿を明確に示すこと、これが必要ではないでしょうか。そのためには、徹底した情報公開も必要でしょう。そしてまた、透明性の確保、わかりやすい広報も必要でしょう。そして何より、真摯な、誠実な対応、これが求められているのであります。  一方、国においても事業者に対していろいろと注文をつけているようでありますが、我が国の原子力事業の監督官庁として責任がしっかりと明確に示されていない部分がある、そういう考えでおりますので、まず先に国の方にお伺いしたいと思います。  今般、多数のずさんな工事が発見され補修を実施したことで、同じ施設で二度も使用前検査を受けているわけですが、規制当局として安全審査を行っている国にも責任があるのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。 16 ◯上野議長 薦田審議官。 17 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 議員御指摘のように、二百九十一もの不適切な溶接施工が見つかりまして、そして、この不適切な部分をすべて張りかえ、国におきまして結果的に二度の使用前検査を行うことになったということは事実でございます。  これは、このような事態の発生を防止するための品質保証につきましては事業者がみずから自主的に達成すべきものというふうに従来認識しておったところでございますが、結果的にこのことが今申し上げたようなことを誘発したということも考えられまして、規制当局といたしまして大いに責任を感じているというところでございます。  この品質保証の問題につきましては、昨年十月からスタートいたしました新しい規制制度の中で既に法令の中に位置づけたところでございまして、この中で、再処理施設の今後の保安規定の認可であるとか、あるいは保安検査を通じまして、国としては原燃の品質保証というものを許認可行為の中で見ていくことができるようになったというふうに考えておるところでございます。  こういう行為の中で、国として、今御指摘のございました国の責任をしっかりと果たしていきたいと考えておるところでございます。 18 ◯上野議長 滝沢議員。 19 ◯滝沢議員 四月二日の説明会もそうでございましたが、今回も先ほど若干触れられていましたが、国は日本原燃の品質保証体制がきちんと機能しているかフォローアップするとしていますが、具体的に何をするのか、そしてどう確認していくのかお伺いいたします。 20 ◯上野議長 坪井課長。 21 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 核燃料サイクル規制課長の坪井でございます。  去る三月三十一日付の院長名の文書をもちまして原燃の方に再処理施設品質保証体制点検結果報告書に対する評価を伝えましたが、その際に、当院から、同報告書に盛り込まれた改善策を実施することを原燃に求めるとともに、必要なフォローアップを行うということもこの通知文書に書かせていただいております。  まず一つは、ただいま審議官からも御説明いたしましたが、昨年十月の制度改正をもちまして、原子力施設の保安活動に関する品質保証が義務づけられております。  これにつきましては、まず、品質保証を取り入れた保安規定の申請が今原燃から出されております。これは今審査しておるところでございますが、これを認可した後につきましては、この品質保証の問題も含めて保安検査でこれを確認していきます。この保安検査は年四回行うものでございます。  一方、今回の品質保証体制の改善策には必ずしも保安規定に含まれないものもあるわけでございますが、それについては、行政指導の一環という形になろうかとは思いますが、これについても原燃から報告を受けていきたいと思っております。  こういった報告の内容及び保安検査の結果といった全体につきましては、公開で開催されます六ヶ所再処理施設総点検検討会にも御報告するという形で、しっかりしたフォローアップを行っていきたいというふうに考えているところでございます。 22 ◯上野議長 滝沢議員。 23 ◯滝沢議員 その確認したことをぜひとも県民に速やかに公開していただきたい。そして県の方にもしっかりと連絡していただきたい。内部で終わらせるのではなくて、しっかりと県民にお願いいたします。  そして、私ども自由民主党は、六ヶ所における原子燃料サイクル事業に今日まで協力してきたわけです。国のエネルギー政策、そして原子力政策に私どもはしっかりと理解を示して、国策として今日まで協力してきた経緯がございます。ですから、この原子力施設の安全確保というものには国がしっかりと責任を持つべきであり、そして、この点検結果にもこれから今まで以上にしっかりと対応することをひとつ国の方に指摘しておきたいと思います。  次に、日本原燃にお伺いいたします。  まず、そもそも不良溶接を行った根本的原因はどこにあるのかお伺いいたします。  〔佐々木日本原燃社長、発言を求める〕 24 ◯上野議長 職名を言ってから発言してください。 25 ◯佐々木日本原燃社長 日本原燃社長の佐々木でございます。 26 ◯上野議長 佐々木社長。 27 ◯佐々木日本原燃社長 ただいまの御質問に御回答申し上げます。  私どもは、今回の品質保証体制の点検結果といたしまして、施工上問題のあった溶接施工などの事象について根本原因を検討いたしましたが、御指摘の不適切な溶接を行った根本原因は、発注者でございます当社、受注者でございます元請会社ともにそれぞれの品質保証上の配慮が十分でなかったということが最大の原因ではないかと考えておるところでございます。  具体的に申しますと、プールの溶接工事につきましては、これまでの原子力発電所におきます受注者の実績や安全上の重要度から見て、元請会社に任せても問題はないとの認識がございました。プールの構造的な特徴や工法に関する施工計画についての事前検討が十分になされていなかったんではないかということでございます。  また、例えばでございますが、現場管理に当たる人員配置につきましても、原子力発電所のプールに対しまして五、倍(後刻「六、倍」に訂正)の仕事量があったにもかかわらず、それが今度の場合に反映されておりませんでした。  また、現地のプロジェクト責任者に権限が集中しておりまして、その指揮のもとに行われた不適切工事をチェックする体制になっておりませんでした。  さらにはまた、当社、元請会社ともにプールの不適切施工に関する知見がなく、そのような状態が起こった場合について思いが至らなかったことがございます。  原因分析につきましては、聞き取り調査や記録確認等によりまして明らかとなった事実をもとにいろいろな事象を分析いたしました結果を総括して申し上げますと、正規の手続をとらずに継ぎ足し溶接を行うといった現場の状況をつくり出した事前の検討不足、このような判断をした現場責任者の意識レベル、さらには、かかる誤った判断を見過ごしてしまった不十分な管理体制といったこと、すなわち品質保証体制の不十分さがあったことが主たる原因であると考えております。  以上でございます。 28 ◯上野議長 滝沢議員。 29 ◯滝沢議員 次に移ります。  日本原燃株式会社は、放射性物質にかかわる部分のみではなくて、それ以外の部分についても万全な品質保証体制を構築すべきではないかと思いますが、いかがでしょう、お伺いいたします。 30 ◯上野議長 鈴木部長。 31 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 日本原燃再処理計画部の鈴木でございます。  今、議員から御指摘があったことはそのとおりであると考えてございます。この点につきましては、今回の総点検の結果として導き出しました五つの反省点の中に、放射性物質に係らない化学安全の観点及びふぐあい発生時の影響、これはすなわち補修の困難さでございますけれども、これを考慮した品質保証上の配慮が十分でなかったということを取り上げてございます。  この反省点を踏まえまして、当社は、品質保証のやり方、これはすなわちルールでございますが、これを見直しまして、化学安全の観点及びふぐあい発生時の影響も勘案して品質重要度を上げ、これに応じて、当社の試験、検査等にかかわる関与を深めること、それと抜き打ち的検査手法を取り入れることなどにより品質保証体制に万全を期してまいりたいと思っております。  さらに、品質保証組織を拡充強化するわけでございますけれども、それによりまして今後の品質保証活動を継続的に評価、改善してまいりたいと思います。  以上でございます。よろしくお願いします。 32 ◯上野議長 滝沢議員。 33 ◯滝沢議員 二年余りにわたって県民に不安を与えてきたわけですが、その責任をどうとっていくのか、そしてもう一つ、何をもって県民の信頼が回復したと判断するのか伺います。 34 ◯上野議長 佐々木社長。 35 ◯佐々木日本原燃社長 ただいまの御質問のように、私どもは、プール水の漏えい発見以来二年余りにわたりまして県民の皆様に大変御不安と御心配をおかけしました。  私どもの現在果たすべきことは、今後二度とかかることを起こさないように、今回の改善策に基づき品質保証体制を確立し、その実効性を達成できますように努めてまいりますとともに、県民の皆様にその具体的な内容につきましてわかりやすく御説明するなどいたしまして御理解を得ていくことや、県民の皆様の御意見をよく伺って経営に生かしていくことなどが求められていることかと存じます。  信頼回復は一朝一夕にできるものではございませんが、今後御理解が得られるよう、安全確保を基本といたしまして、御安心いただけますように全社を挙げて努力を積み重ねてまいる所存でございます。  私からは以上でございます。 36 ◯上野議長 滝沢議員。 37 ◯滝沢議員 今、社長の方からは全社を挙げて取り組むという話です。  日本原燃株式会社は地元青森県の企業でございます。そうですね。そしてまた六ヶ所村の企業でもあります。私は、県民の代表として、県民の、その地域に住む住民の信頼を得られるような企業になっていただきたい、そういう望みがあるわけですよ。ましてや原子力に関連する企業であれば、その地域の住民の信頼というものは絶対条件なんですよ。ですから、冒頭に申しましたように、県民から原燃は変わったなと言われるような、そういう姿をしっかりと示していくことが必要なんですよ。  よって私は、議員として、これからの原燃は本当に変わっていくのか、また、変わるのをしっかりと見定めていきたい、このことを指摘しておきたいと思います。  次に、知事に伺います。  今回の事業者の点検結果報告、そしてそれに対する国の評価が出されたわけですが、県はこれからどのように対応していくのかお伺いいたします。 38 ◯上野議長 知事。 39 ◯三村知事 日本原燃株式会社六ヶ所再処理施設の総点検につきましては、県では、日本原燃株式会社からは、施工上問題のある溶接箇所が見つかった使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の補修を行い、平成十六年一月二十八日、国から使用前検査の合格証が交付され、健全なものに復旧したこと、品質保証体制点検については、設備及び建物の健全性の確認を書類点検、現品点検で行い、施設全体の健全性に問題のないことを確認したこと、また品質保証体制については、反省点が五点抽出され、社長みずからが先頭に立って全社を挙げて改善に取り組み、県民の信頼回復に最大限の努力をすること、そして原子力安全・保安院からは、日本原燃株式会社が実施した点検、補修等は妥当であり、再処理施設の設備等の健全性は確認されたが、品質保証体制については改善すべき点があり、今後、改善策が確実に実行され、それをフォローアップしていく必要がある、という報告を受けたところであります。
     使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設のプール水漏えいに始まる一連のトラブルに関連して、当該施設の不適切な施工、それに対する補修の実施、また品質保証体制の点検を行わざるを得なくなったことは極めて遺憾であり、県としては国に対して、施設の安全確保に万全を期すよう事業者を厳しく監視、指導することを求めてきております。  六ヶ所再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題については、県民を代表する県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺うなど、慎重な手順を踏んでまいりたいと考えております。  今後とも、国及び事業者の対応状況を見きわめつつ、県民の安全、そして安心に重点を置いた対応をすべく、安全確保を第一義に慎重に判断してまいりたいと私どもは考えております。 40 ◯上野議長 滝沢議員。 41 ◯滝沢議員 今、知事の方から、県民を代表する県議会、市町村長、また、知事が任命している原子力政策懇話会ですか、その意見も伺って、手順を踏んで判断するというお話でございました。  そこで、最後に、国策に協力するにしても、しっかりと県民の目線に立って、そして最終的に総合判断をしていただきたい、そのことを要望して私の質疑を終わります。 42 ◯上野議長 続いて、中谷純逸議員の発言を許可いたします。──中谷議員。 43 ◯中谷議員 おはようございます。自民党の中谷でございます。  滝沢議員に引き続きまして質疑をさせていただきます。  ただいま、冒頭、滝沢議員の、何でこういう不良溶接があったのかということに対して原燃の社長からるる御説明がありました。  私は、さきの四月二日の説明会を受けまして原子力安全・保安院のホームページを見せていただきました。確かに、社長から今説明があったような内容のこともありますが、この中で私が驚いたのは、これは第二回目か三回目の検討委員会で原燃さんが説明していると思うんですが、当社の関係でいきますと、今回の施設プール等の施工管理については、電力出向者、そしてメーカー出向者、それから入社後数年程度のプロパーで実施した、部長以下十名ですよ、こういうことでありますね。そして、電力から出向した部長、課長さんは必ずしも建設のエキスパートではなかった、この事実も報告されております。  そして、事業者の立場として、このプール等の溶接の施工管理は元請会社に任せて、当社はその健全性確保のための真空発泡試験には継ぎ手交差部の五%の立ち会いだ、そしてまた、浸透探傷試験については全溶接線の三〇%という報告、そういう抜き取り検査をしていましたよという報告もあります。  そしてまた、元請会社の立場としての報告もあります。この中には、施設プールの据えつけ担当者の指導員一名──元請会社からのですね。これは、原子炉製造部門で製缶作業を担当した経験はある職員だけれども、現地工事の指導員としての経験はなかった。この方がたった一人、元請として現場の監督をしていたということであります。  そして、先ほどお話があったように、このプールの工事の規模は原子力発電所のプールの、ここでは六倍と書いているんですが、であったにもかかわらず、作業員はそれ相応に人数は確保していたけれども、元請会社の現地工事の指導員は、さっき御説明しましたように、資格を有する者はたった一名でありました。  そして、ここにきて私が驚いたのは、先ほどの破壊検査の関係ですね、抜き取り検査であったということでありますが、この抜き取り検査場所の選定についてもまさしく施工会社主導で行われていましたという報告もなされております。そして、施工会社においては、先ほど社長も言ったように、まさしくプロジェクトマネジャーというものに権限が余りにも集中して、一人でやっていましたよということが報告されております。  こういうことを見たときに、まさしく建設当時の事業者の品質保証に関する体制というのは、この事業の許可を得る際に、十分力のある会社ですよということを認定して国は許可したはずでありますが、実態はこうであったのかなということを、この検討会の報告といいますか、議論の内容で見せていただいて、はっきり言って少しがっかりしたなという思いを禁じ得ません。  ただ、その後、一連の工事に関連してこれまで二年間かけて総点検をなされ、そしてまた、施設自体は設計どおりにできていますよという国の評価も今いただきました。そして、トップマネジメントへの決意を新たにして、社長みずからが、これからの操業に向けた中で品質体制を確立していくことを改善策として盛り込んだことについては評価はいたしたいと思います。  しかしながら、これまでの報告、そして現状について何点か御質問させていただきます。  まず第一点でありますが、国に対して御質問を申し上げます。  先ほどの滝沢議員ともちょっと関係するかもわかりませんが、このプール漏水があった施設については国は合格証を出していますよね。合格証を出しているけれども、今の不適正な溶接が見抜けなくて、使用済み燃料を何年か入れたら漏ってしまった。じゃ、この使用前検査というのは何だったのかなと。これは、私だけじゃなくて、広く県民が疑問を抱く点だと私は思います。そしてまた今回、補修を終えて、新たに使用前検査を一月に出しました。  そこでお伺いしたいんですが、さきの検査体制と、今回使用前検査を許可したその検査体制について、どのような見直しをした検査体制を組んでおるのか。  そしてもう一点は、東電の不正工事のときに国は操業した暁の維持基準なるものをつくっていますが、今後再処理施設でも同様の制度をつくる考えがあるのかどうかお伺いしたいと思います。 44 ◯上野議長 坪井課長。 45 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 まず、使用済み燃料受け入れ・貯蔵プールの使用前検査についてでございます。  最初の建設に当たりましては、当時の科学技術庁が使用前検査を行っております。  この使用前検査では、材料検査、寸法検査、据えつけ外観検査、耐圧漏えい検査というものが実施されておるわけでございますが、使用済み燃料受け入れ・貯蔵プールの水の放射能の濃度というものは極めて低いものでございますので、いわゆる原子炉等規制法に基づく溶接検査、これは溶接を直接検査するものでございますが、それの対象にはなっていないものでございました。  今回の事案は、特に継ぎ足し溶接の表面が磨かれていたということもありまして、外観検査の中でなかなか発見することができなかったというものでございます。  この使用済み燃料受け入れ・貯蔵プールの検査の目的でございますが、このプールに要求される機能は、使用済み燃料を水で冷やすという冷却機能、また、使用済み燃料から発生する放射線を水で遮へいするということでございますので、プール水が一定以上きちんと保持されることがまず基本でございます。この点を基本にして使用前検査を考えているわけでございます。  ただ、実は今回の補修工事におきましては、今回の事案を踏まえまして、事業者におきましてこの補修部分の全真空発泡検査が行われて、国もこれを確認したところでございます。  体制ということでは、昨年九月までは原子力安全・保安院が実施しておりましたが、昨年検査体制の見直しがございまして、昨年十月以降は、六ヶ所村に設置されております独立行政法人原子力安全基盤機構核燃料サイクル施設検査本部が補修工事の使用前検査を実施したというものでございます。  続きまして、維持基準の問題でございます。  御指摘のとおり、実用発電炉に関しましては、東電問題の後、健全性評価という維持基準の考え方が導入されております。  ただ、原子炉というのは基本的に非常に高い熱ですとか高い圧力といった部分がございまして、そういった部分でひびがあった場合にそれを運転継続できるかどうか、ひびの進展を予測してそういうものを検討していくということでございますが、再処理施設と申しますのは原子炉と違いまして、非常に高い熱ですとか高い圧力の部分というものが基本的にはないという、このような違いもありますので、原子炉に導入した維持基準の考え方を単純に適用できるものでないとは思っております。一方、英仏の再処理施設でもこのような維持基準という考え方は特に導入されておりません。  しかしながら、この原子炉と再処理施設の違いも踏まえながら、再処理施設でどういった最良の検査なり安全規制をやっていくかということについては、引き続き専門家の意見も聞きながらよく検討してまいりたいというふうに思っております。 46 ◯上野議長 中谷議員。 47 ◯中谷議員 プールの検査対象について、基本的な能力の中にプール水の保持ということがありますよね。保持されなかったんですよね。量は少なかったんですけれども漏れたということは、はっきり言うと、プール水の保持には的確なプールじゃなかったということなんですよ。  ですから、まさしくその点でも、原燃さんだけでなくて国も、当初の建設段階から、今まで原子力発電所で何カ所もプールはつくってきたと。ただ、規模的にはさっき言ったように六倍ですよね。これに対する品質保証についての考え方──事業者も反省していますけれども、これについては当然国にも問題があったのではないかなということを私は指摘しておきたいなと思います。  と同時に、維持基準についても、フランスあたりはまだやっていないということですが、まさしく今は、原子力安全だけじゃなくて化学工場ですよという指摘もあるわけですから、確かに高熱とかそういう場面は出ないかもわかりませんが、硝酸等を使っていく段階で万が一そういうことがあるとすれば大変憂慮されますので、今答弁なさったように専門家と協議をして、その維持基準の必要性があるんであればぜひ設定していただきたい、このことは要望しておきたいと思います。  第二点として、このたびのいろんな点検の中で、日本原燃さんは改善策として多くのことを挙げております。  その中で、私からは、今後の改善策として人材育成を掲げまして、平成三十一年までに、これまでのように出向社員に頼っていくんじゃなくて、自前のプロパー社員を九割以上確保したいとしておりますけれども、この採用計画については以前のものとどう違って、具体的にこの採用に当たっての計画等はお持ちなのかどうか、この点についてお伺いいたします。 48 ◯上野議長 佐々木社長。 49 ◯佐々木日本原燃社長 御回答申し上げます。  企業は人なりと申しますように、今後の品質保証体制を強化、確立する上での基本は社員の力ということになりますことから、強化策の一つとして人材育成を掲げましたのもこのような考え方からでございます。  そして、これから十五年後には、当社に直接入社いたしましたプロパー社員が全体の約九割を占めるように長期にわたり計画的な採用を行いますとともに、具体的な育成の計画につきましても、将来の中核者、管理者として育っていくよう能力を身につけさせることや、例えば同じ再処理部門内におきましても複数の仕事がこなせるような能力を身につけていただくといったこと、そういったことを十分に考慮しながら、将来において当社採用社員を主体とする業務運営体制が可能になりますよう、時間をかけながら、しっかりとした人材育成を計画的に進めてまいりたいと思います。  先ほど申しましたように、採用の計画についても、そういった意味で、全体の社員の計画の中に年次計画を立てているところでございます。  以上でございます。 50 ◯上野議長 中谷議員。 51 ◯中谷議員 ただいまのお答えの中で、確かに出向社員が二年か三年で異動して、そういう人的配慮の欠陥もあったということを踏まえてのプロパー社員ということだろうと思います。  私は、現在抱えている雇用問題等々についても、やはり地元企業ということで、それに対して大いに貢献していただくことは期待申し上げたいと思います。  ただ、今、人材育成の中で社長からは技術、能力の話しか出ませんでした。あえて聞かなかったから答えなかったのかもわかりませんが、これからの人材育成の考え方の中で──今までは、きちっとした設備はつくるんだけれども、それを運用する方の欠落といいますか、欠点といいますか、そういうもので問題が起きてきた部分もかなりありますね。ジェー・シー・オーの場合でも安全文化等々を訴えてきていますから。これからの人材育成に当たっては、技術力、能力はもう当たり前です。ただ、やはり、原子力に対する安全文化といいますか、そしてまた法は守るという姿勢ですね、そういうものがこれからの人材には要望されてくる点が多いと思いますので、その点も十分加味した研修制度並びに人材育成を図っていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。  さらには、この改善策の中では地域会議というものを設置することにしていますが、これは、名称的には、先ほど滝沢議員もおっしゃったような六ヶ所の地元企業だという意識の中での発想なのかどうかわかりませんけれども、このメンバー構成、そしてまた運営手法、開催時期等々について具体的にどのような検討をなされているのかお願いいたします。 52 ◯上野議長 松本副社長。 53 ◯松本日本原燃副社長 日本原燃の副社長の松本でございます。  ただいまの地域会議の御質問でございますが、先ほども御指摘されましたが、日本原燃は変わっていかなければならない、時代性に合ったそういった会社づくり、地域から信頼される会社をつくっていかなければならない、これは、社長以下、今回のこういった反省に立って痛切に感じたところでございます。そういう意味もございまして、私どもの事業活動に対します地域の方々の忌憚のない御意見、御指摘等々を今後の事業活動に反映してまいりたい、そういう趣旨で地域会議なるものを設置することといたしました。  メンバーでございますが、県内各界で現在御活躍しておられる有識者約八名程度で構成することで進めているところでございます。  運営方法は、まず委員長は委員の互選で選出しまして、会議の開催は年数回、原則としまして六ヶ所で開催することを考えております。第一回目の会議につきましては、今月末ごろ開催する方向で現在諸準備を進めているところでございます。  以上でございます。 54 ◯上野議長 中谷議員。 55 ◯中谷議員 私の時間も大分押し迫ってまいりましたので、急ぎたいと思います。  それでは次に、検討会の神田主査がおいでですからお伺いしたいんですが、先ほど私も検討会の中の一連の議論内容を読ませていただきました。そういう中にあって、今回事業者から国に対して総点検の計画をやって、報告があって、保安院として評価したということをまた検討会で受けて了承したわけでありますが、検討会として、この原燃さんの施設、そしてまた今後の品質保証はオーケーですよとゴーサインを出した大きな根拠は何でしょうか、お伺いします。 56 ◯上野議長 神田主査。 57 ◯神田六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会主査 六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会というのが保安院にありますが、そこの主査をやっております神田でございます。二年前までは京都大学の教授をやっておりまして、現在は京都大学の名誉教授でございます。  今御質問のありました、どのように了承したのかというお話ですが、ちょっと脱線しますが、検討会の今までやってきたことをちょっと復習しますと、昨年の九月に始まりまして、この三月三十日でちょうど十一回を数えました。初めの数回は、どうしてこういうことが起きたかという原因追求にほとんどの労力を割きまして、現地調査をしたり、どこを改善しようとしているかという、どちらかというとハードといいますか、金物の検査に集中しました。ことしに入りましてからは、むしろ、会社の体質とかシステムとか、品質保証をちゃんとやっていけるに足る会社であるかということに力点を置きまして調査をやりました。  その結果、ことしに入って大分変わったという印象を我々は持ちまして、実はちょうどそのころ我々は関西電力も見ていたんですが、関西電力も昨年の暮れから非常な勢いで会社の体質が変わってきまして、それと同じような状態を日本原燃に見たというのがありまして、了承の一つの条件になっております。  了承するに当たってその報告を審査したのは、二月二十九日に六ヶ所村で第九回の検討会をやりました。次に三月十日に東京でやりまして、三月三十日にまた東京でやりまして、三回の検討の結果、了承いたしました。  その一番の根拠は、日本原燃が改善案というのを幾つか出してきたんですが、それが非常にすぐれているというふうに思った。検討会のメンバーは、御存じのとおり、日本原燃は大丈夫かというような連中が集まっている検討会ですから、非常にたくさんの意見が出まして、その意見をくみ上げ、それから、会は三回しか開いておりませんが、実際には手紙のやりとり、メールのやりとりは委員の間で盛んに行われまして修文に努めたという、そういうことがあって、一応、会としては了承できるというふうに判断いたしました。  以上でございます。 58 ◯上野議長 中谷議員。 59 ◯中谷議員 いろいろな考え方の中で今私が大変注目したいのは、先ほど滝沢議員も御指摘しましたけれども、原燃さんの体質が変わったなという印象が大きな評価の基準になったということであります。それと、改善策を評価したということもございました。ぜひともこのことについては、原燃さんはより以上の体質改善、そしてまた国においては、まさしくこの改善案をフォローアップしていくわけですから、ぜひ注視していただきたいと思います。  と同時に、今言ったように、保安院、そして検討会、原燃さん、三者がいろんな点検をしながら、今回の点検によって、設計図面どおりの施設になりましたよ、それから、これからの品質保証の改善策も出てきましたよということであるわけですが、しかしながら、その評価の中で、一方では、再処理施設はさまざまなトラブルの発生は避け得ないと考えられると。私は、これは一歩進んだ考え方なのかなと評価します。今まで、原子力というのはすべて安全なもので間違いありませんよと説明してきた中にあっても、これからいろんなウラン試験、アクティブ試験をやっていく中でトラブルもあるかもしれないと。ただ、これに対する想定した対応、対策が求められると私は思うんですね。トラブルが避けられないとすれば、その辺についての対策をいかに図っていくのか、これは国と原燃さんにお願いしたいと思います。 60 ◯上野議長 薦田審議官。 61 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今、議員から御指摘がございましたように、ウラン試験におきましては、新たに模擬ウラン燃料集合体を扱うといったようなこと、あるいはウラン溶液であるとかウラン粉末を扱うことから、初期設定値の調整不良等によりますトラブルや溶液中に含まれているものが析出してくるといったようなこと、あるいは、粉末を扱いますので、粉末で目詰まりをするといったようなトラブルが起こるところであります。また、腐食といったような化学プラント特有のトラブルも予想されるところでございまして、このことは検討会の場におきまして原燃からも三十の典型例というものが示されまして、その際の影響やとるべき措置もあわせて議論されたところでございます。  原燃は、これまでの先行事例を参考に、今申し上げましたようなわかっているものにつきまして、設備に反映していく、あるいは運転手順等に反映していくというのは当然でございますけれども、それでもなお出る可能性があるというものであります。  この反映につきましては、これも検討会の場で原燃から紹介がございましたし、我々の方でも確認をしているところでございます。特に、今後始まりますウラン試験につきましては、まさに名前のとおり試験で、調整運転の一段階でございまして、むしろ、ふぐあいやトラブルを通じて設備などの調整、改善を行うというところもございまして、こういった面からも、ふぐあい、トラブルの発生というのは当然予測していくべきものと考えております。  まず、これに対します対応でございますが、国につきましては、ウラン試験時の安全性については──保安規定につきましては今審査中でございますが、それ以外につきまして既にチェックを終えておりまして、基本的にその安全性につきましては担保できると考えておるところでございます。すなわち、原子炉等規制法に言います放射線障害を与えるようなものは防止できるということは確認しているところでございます。  しかしながら、これだけでいいわけではございませんで、原燃は、評価書にもございますように、これらのふぐあいやトラブルに対しまして事前に十分に準備を行いまして、発生した場合にあっては適時的確な対処が大事であるというふうに考えておるところでございます。  また、地域の皆様方に対しましても、こういうような予想されるトラブルというものを事前に十分に周知していただく、そして、その際の安全性について、あるいはこのトラブルに原燃はどういう対応をしていくのかということも周知していただく、こういうようなことを行うことによりまして的確に対処していただきたいと考えておるところでございます。  国としましては、この面につきましてもフォローアップの対象にもなっておりますので、原燃の対応について今後注視していきたいと考えておるところでございます。 62 ◯上野議長 鈴木部長。 63 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 日本原燃再処理計画部長の鈴木でございます。  今、保安院さんの方から御説明していただいた内容に加えまして、原燃での取り組みについて説明させていただきたいと思います。  今後行います試験運転の目的の一つが、各設備の機能や性能を確認するとともに、ふぐあいを早期に発見し、手直し、調整を行うということの認識に立ちまして、試験運転中にはいろいろなふぐあいが起こり得るという心構えで取り組み、準備を進めてございます。  まず、設備でございますけれども、再処理施設におきましては、異常が大規模かつ急激に拡大する可能性は大きくないものでございますけれども、いろいろなふぐあいを想定しまして、放射性物質や放射線が施設外に漏れ出さないよう二重三重の対策をとった施設としてございます。  それから、この施設を動かす人の点でございます。再処理工場を動かす要員につきましては、教育訓練の全体計画に基づきまして、国内外の既に動いております再処理施設に運転員とか補修員を派遣することにより研修訓練を積ませていただいてございます。具体的には、国内にございますサイクル機構さんの東海再処理工場、それからフランスにございますラアーグ再処理工場、イギリスにございますセラフィールド再処理工場等に要員を派遣して訓練を積んでございます。  その上で、試運転の実施に当たりましては、当社の再処理工場には国内外の再処理施設で実際に働いていた専門の技術者を駐在させ、常にその人たちからノウハウを日本原燃の社員に移転し、原燃みずからノウハウを身につけるということで万全の体制をとってございます。具体的には、フランスのコジェマ社から約五十名、イギリスのBNFL社から四名、サイクル機構さんからは百五十名程度の専門の技術者が今六ヶ所に駐在して、原燃の試運転に備えてございます。  それから、ふぐあいが発生した場合の措置でございますけれども、その内容につきましては事前にお知らせするとともに、万一実際に発生した場合には、徹底した調査を行い対策を施しますとともに、その内容を県民の皆様にお知らせしていくということで取り組みたいと思います。  以上でございます。 64 ◯上野議長 中谷議員。 65 ◯中谷議員 次に進みたいと思いますが、私は今、トラブルが発生することも予想されるよと、それに対しての質問をいたしましたが、次の使用済み燃料の再開だとかウラン試験をすぐにゴーさせるとかということを言っているのではありません。これは、これからきょう一日の全協の中、それからまた懇話会の話、そしてまた市町村長の話、そして知事の考え方等々を伺いながら、会派内でも議論して進めていかなければならないと認識いたしております。  ただ、この再処理工場が稼働するにしてもしないにしても、我々青森県として一番心配しているのは、この核燃料サイクル事業をめぐる環境が果たして本当に整いつつあるのかどうかということです。まさしくプルサーマルですよ。今、関西電力だとか九州電力が幾らか原発でプルサーマルをやってもいいよという話はしていますけれども、とりあえずは外国で再処理したプルトニウムを使いますよね。十八年が原燃さんの操業ですから、計画上でいくとそれまでに十何基ということは計画していますけれども、その辺が我々青森県にとってはなかなか見えてこない。そういう不安がいっぱいあるんですよ。  したがって、核燃料サイクルを進めていくに当たって、まさしくこのプルサーマル計画も含めて、そしてまた今後の見通しも含めて、国並びに──きょうは電事連さんもおいでなんですか、含めてこのお話をお伺いしたいと思います。 66 ◯上野議長 細川課長。 67 ◯細川資源エネルギー庁核燃料サイクル産業課長 資源の乏しい我が国は、エネルギーセキュリティー確保の観点から、プルサーマルを初めといたしました核燃料サイクルを国内において確立することを原子力政策の基本としております。このことにつきましては、昨年十月に閣議決定されましたエネルギー基本計画において明記されているところでございます。こうした政策が基本であるということに変わりはございません。  御指摘のプルサーマルについてですが、その実現が一時的に停滞してきたことは事実でございますが、先月、この三月でございますが、福井県からの了承を得て、関西電力と燃料加工事業者との間でMOX燃料加工に関する基本契約が締結されるなど、新たな進展も見られているところでございます。  国といたしましては今後とも、安全確保を大前提として、そして地元の理解を得つつ、プルサーマルを初めとする核燃料サイクル政策の推進に取り組んでいく、このことが我が国の原子力政策の基本と考えております。  以上です。 68 ◯上野議長 濱田専務。 69 ◯濱田電気事業連合会専務 電気事業連合会専務理事の濱田でございます。  電気事業者の考え方をつけ加えさせていただきます。  昨年の十二月に、電気事業としてプルサーマルを全力で進める、各社それぞれの努力で進めるということを改めて表明いたしました。これは、今の課長からの御説明にございましたように、原子力委員会、あるいは原子力政策基本法に基づくエネルギー基本計画におきましても、サイクル事業を含む原子力が国のエネルギーの基幹であるという位置づけの中で、私ども、それの重要な一部分でございますプルサーマルを全力を挙げて進めるということを改めて確認したわけでございます。
     その後、その線に即しまして、まず関西電力さんにおきまして具体的な動きが出てきております。それ以外の会社につきましても、やはり地元とのいろいろなお話し合いがございますので、今現在では具体的にどこがどうというのはまだございませんけれども、複数の会社でかなり具体的に進める方向に動いているということは耳にしておりますし、私ども電気事業連合会としてもぜひその方向で進めていくというふうに考えているということでございます。  以上でございます。 70 ◯上野議長 中谷議員。 71 ◯中谷議員 前のこういう説明会でも、プルサーマルに関して質問すると同じ答えなんですね。したがって、閣議決定をして、サイクルを含む事業が基本法の中にのったよということは私も今認識いたしました。  そうすれば、もう一点聞きたいんですが、先般我々に示された、平成十何年かまでに十何基やるというあの計画はまだそのまま生きているということですか、それとも見直すということですか、いかがですか。 72 ◯上野議長 濱田専務。 73 ◯濱田電気事業連合会専務 今、十二月と申し上げましたのは、その計画に引き続き全力で取り組むということでございまして、変えるとか減らすとかいうことではございません。  それで、今申し上げましたように、具体的に今動き出したなというのは関西電力でございますけれども、それに続く会社も、それぞれの持っている目標に向けて全力を挙げて取り組んでいるところでございます。  以上でございます。(発言あり) 74 ◯上野議長 中谷議員。 75 ◯中谷議員 今向こうでお話をしているとおりです。プルサーマルが動かないと──せっかく会社の体質を変えて、これからいろんな試験をやって、十八年の操業に向けて今一生懸命動くわけですよ、これは知事の決定が大事ですけれどもね。ただ、動いた時点で、外国にもまだプルトニウムを預けてある。それを、また事業をやって──今、計画は変わらない、鋭意努めるというお話ですけれども、本当の実態を我々県民に示してほしいんですよ。そうでないと──最後に言おうと思っていましたが今言いますけれども、まさしく青森県には使用済み燃料だけが運ばれてきて、そしてまた今、むつ市で中間貯蔵。そういうものばかりがたまる県になる可能性が──これは県民が一番不安に思っている点だと私は思います。  したがって、そのことをきちっと説明するなり、今後のプルサーマルに関する──今答弁にあったようなことじゃなくて、電事連さん、そしてまた経済産業省でも結構ですので、きちっとした計画書を後でもう一度議会に提出していただきたい、このことを要望しておきます。  それと、そういうことを受けて、時間もありませんから最後にお伺いしたいんですが、今の全協、そしていろんな意見を受けて、これから多分県民の総意ということで知事はまとめられると思うんです。このときに、私も今言いましたけれども、そういうことを含めて、我々青森県から国にもう一回この核燃料サイクルに対する考え方を確認する必要はないのかどうか知事にお伺いしたいと思います。 76 ◯上野議長 知事。 77 ◯三村知事 本県におきましてはこれまで、原子燃料サイクル事業につきましては、立地協力要請から本日に至るまで、同事業の国策上の位置づけについて節目節目で確認を行うなど、安全確保を第一義に、慎重かつ総合的に対処してきたところでありますが、県といたしましては、今回の日本原燃株式会社の点検結果報告及びそれに対する国の評価については、本日の県議会議員全員協議会での御意見、また県内市町村長の御意見や原子力政策懇話会の御意見などを踏まえ、さらに、我が国における原子燃料サイクル事業の国策上の位置づけを含む核燃料サイクル政策等に対する国の考え方をも確認する必要があると自分自身は考えております。 78 ◯上野議長 中谷議員。 79 ◯中谷議員 今の知事の決意を聞いて安心いたしました。ぜひそのように図っていただきたいと思います。  そして、先ほども申し上げたように、これからの議論の中で、いろんなまとめの中で、再処理工場は多分稼働していかなければならないだろうと思います。しかしながら、先ほど申し上げたように、ただただ使用済み燃料だけが我が県にたまることのないように、それは国にお願いしたいし、これまた知事からも国にぜひ申し上げてほしいし、それと、事業者については、まさしく県民の信頼回復のために、会社自体の体質の改善はもとより社員教育にもより一層十分な力を入れていただくよう要望して、私の分は終わりたいと思います。 80 ◯上野議長 次に、太田定昭議員の発言を許可いたします。──太田議員。 81 ◯太田議員 我が党で二名の方が今までの時間を消化したわけでありますが、おおむねそれに全部含まれているような感を私は持ちます。  そこで、何でこうなるんだろうなと、そういう思いが私はずっとしておりました。これは、先ほどからの化学というものに対して、原子力というものに対して、スタート地点では、皆さん方の自信に満ちた、絶対安全・安心だということを国民は大体信頼してきたはずであります。ここにおられる中で、私もまた推進派の一人であります。それから、反対とは言わないけれども、慎重派もおるわけです。  そこで、我が県の今までの環境を見ますと、県民世論を二分したそういう選挙の環境もあったことは御案内のとおりであります。だけれども、皆さん方のエネルギー政策というものがこれから文化生活を営む上で不可欠なものであるということは国民全部が理解しているわけです。その中で、私どもも当初の時点では、いわゆる神話説という言葉が出ましたけれども、安心だ、安全だ、そういう思いできた経緯があります。  たまたま、これら施設の放射能に関する事故、トラブルは少ない。だけれども、あってはならないことがあったわけでしょう。東海村の臨界事故ですよ。これは日本しかないんですよ、広島、長崎に次ぐね。だから、そういう思いの中で、いわゆる慎重派の方は安全、安心も絶対不可欠だと。これは賛成派も同じですよ。そういうようなことの中で、私はこの中でも古い方で、立地協定書を初めから見てきた一人ですよ。だけれども、まだ知らない方もあるわけです。ですから私は、そういう思いを含めた中でこの時間を使いたいな、そう思うわけであります。  そこで、何で立地したかというと、ともにエネルギーに協力しながら、我が県の振興策の一環として、これもまた両立した中でいこうと。こういうことで、電源三法だとかいろんなことがあって、それぞれの地域の振興策がなされてきておることもまた事実であります。  そういうような中で、皆さん方が点検したこれも全部見ました。大変真新しいですよ。そういうような意気込みだと。それは評価しますよ、私は。今までは、こういうものが足りなかったところにこういう問題が発生しているわけです。ですから、中谷議員も先ほど聞いておりましたが、そういうようないわゆる施工業者の工程の中に健全性があったのかどうかということ、これは新聞にも報道されていますが、これは一番大事なことであります。  ですから、まず第一に確認したいことは、皆さん方がこれから現場をよく確認して──その工事過程を確認しながら前に進めるのかどうか、その辺をまず確認したいと思います。 82 ◯上野議長 薦田審議官。 83 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今、議員の方から、規制庁において現場を確認しながらやるべきというお話をいただきました。まさにおっしゃるとおりでございまして、まあこの四月一日から一人欠員が出ておりますが、現地に当方の職員七名が配属され、あるいはこれを支援するためのJNES(原子力安全基盤機構)の人間が十名ほどおりますけれども、まず、こういう職員が常に現場を点検していくというのは極めて大事なことだと思っています。  ただ、保安院の職員につきましても、あるいは今回の検討会でもそうだったんですけれども、現場を適時見ていくということも極めて重要というふうに認識しておりまして、今の先生のお言葉は当然のことでございまして、そのとおりさせていただきたいというふうに思っております。 84 ◯上野議長 太田議員。 85 ◯太田議員 ここで、県民感情は、常識で当然やらなければならないことをやってこなかったからこういうふうになったのですよ。いいですか、これは国の責任ですよ。  それからいま一つ、もう一遍みんなで復習しながら私は話をしたいと思いますが、平成十年、パシフィック・スワン号がフランスから高レベルを運んできたでしょう。そのときに当時の知事が待ったをかけました。それはなぜかというと、今まで原子力政策の中でいわゆる絶対安全・安心を強調してきた中で、その立地地域に対して国は、商社ベースだから、民間サイドだからということで、当たらずさわらずできたことも事実ですよ。そのときに木村知事は、これではだめだ、国の責任をもっと前面に出してくれなきゃ困るということであの船をとめた。経緯はそこなんですよ。  それから、四者というような名前──四者協議、これは青森県が持ったことですよ。青森県がなぜそれほどまでにやるかというと、国の施策に協力しながら日本のエネルギー政策に協力していこうという気持ちは変わらないからですよ。  ですから、そういう思いの中でやってきているということをよく理解していただきたい。そして、その当時の橋本総理を前に出して国の発言をぴちっと裏づけさせたのが時の県連会長の大島理森ですよ、衆議院のね。そのときは三村知事はまだこっちにいたんですよね。ですから、それぐらい青森県は頑張っておるということをまず理解してくださいよ。  そして、今また確認したいわけでありますが、万が一でもこういうことがあってはならないが、放射能漏れがあったときにはどうしますか、これからも。というのは、皆さん方の話を聞いていると、これで安全だとは言われないということが陰にあるわけですよ、発言を聞いていますと。これからもトラブルがあるかもわからないと。事前にそういうことを皆さん方に報告しながらやっていくという、そういう表現もしましたね。(発言あり)そっちの方で議題外でねえかって、なんも議題外でねえんですよ、これに基づいてやっているわけだから。だから、その辺で余りがやがやと──ちょっと内気だもんだとこでね。ですから、まずひとつそこの意思を。というのは、なぜかというと、東海村でいわゆる臨界事故があって、風評被害の補償はまだ結論が出ていないわけでしょう。だから、こういうときには国も全面的に協力しますということを言えるかどうかですよ。その辺を。 86 ◯上野議長 薦田審議官。 87 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 ただいまの件でございますが、まさにおっしゃるとおりではないかというふうに思っております。  ただ、保安院の立場から申し上げますと、保安院というのはあくまでも原子力安全のことしか申し上げられませんけれども、この安全につきましては、先ほども話がございましたように、原燃あるいは我々が、今後こういうことが起こり得るかもしれないということを住民に十分に御説明し、生じた場合には速やかに、住民の方に、そして県当局の方に、そして村当局の方にお話ししていくという中でこういうものに対処していきたいと考えております。  なお、先ほどお話がありましたように、さらにもっと大きい事故がというようなこともございましたけれども、これにつきましては、規制法に基づきまして我々が最も全力を挙げてやらなければならない事故防止策の究極の目的であるわけでございまして、それについては最大限の努力をさせていただきたいというふうに思っております。  なお、これは全く保険的な面であるわけでありますが、木村前知事のときからレスキュー隊というのがずっとございました。結果的に今それが当方のオフサイトセンターという形に結びついているということでございますが、こんなものが使われることはあってはならないと思いますけれども、日本のオフサイトセンターあるいは防災体制というのは、設備の面で見ますと、恐らく世界の国の中でもトップクラスにあるのではないかというふうに思っているところでございます。 88 ◯上野議長 太田議員。 89 ◯太田議員 そういうようなことで、我が県は立地十二県の中で非常に先駆的な役割を果たしておることもまた事実であります。  ちょっと今お話が出ましたが、レスキュー隊については、東海村の火災事故を見て、あのときに先頭に立ったのが山内和夫先生ですよ。みんなも思い出してください。だから、我々のそういう範疇でも、この原子力というものに対して前向きに進めようやというふうな意欲の方がまだいるということですよ。早くやってくださいよ。早くやってください、これは。皆さん方を信頼する。信頼なくして何がありますか。私どもは専門家ではありません。我々で専門的な分野で今一生懸命やっているのは、鹿内博先生であり、三上隆雄先生……。だから、その持ち場、持ち場でポジションが皆──我々は素直にやらないとだめですよ。知らないものを覚えたふりしてしゃべってどうなりますか。これが事故ですよ。  ですから、そういう意味の中で、ひとつ原燃さんにも早く協定書を結ぶような努力をしていただきたいし、これは後段に知事にも聞きますが、そういうようなことで、これから県に──協定書には甲、乙、丙とあるわけですが、乙、丙が納得するような環境でやれるかどうかということを発言してください。 90 ◯上野議長 佐々木社長。 91 ◯佐々木日本原燃社長 今の太田議員の御発言は、これから次のステップに進むために安全協定の締結が必要でございますが、その状況にするような我々の努力が今新たな段階に来て、それに対して全力を投入するということが全社を挙げて我々が行うべきことだというふうに考えておりますので、今のお話を心に刻みましてしっかりと進めたい、かように考えているところでございます。 92 ◯上野議長 太田議員。 93 ◯太田議員 社長の決意のほどを信頼します。  そこで、あと少しもないわけですが、私のファクスにも、理解しがたいということでこういう全国ネットというようなのが入ってきて、私のファクスの紙がなくなっているんですよ。だから、そういうことを──余り緊張しても皆さんは肩が張ると思うから私はこう言っているんですよ。  そして、いま一つ確認したいことは、皆さんはいわゆる不適正という言葉になっているけれども、我々にすると不正ですよ。例えばこの紙のスパンのやつも、すき間があいているというのは考えられますか。特殊施設ですよ。だから、そういうことの中で──こういう日本語というのは受けとめ方がみんな違うわけですからね。だけれども、私は、設計どおりやらないものは不正以外の何物でもないということを──我々、県の公共事業等においてもみんなそのとおりやっているんですよ。それを不適正だ云々と言うから、県民の信頼が欠けていくのはそこなんですよ。正直さに欠ける。  だから、私に言わせるならば、こういうようなものであってでも、県民が納得できるような、受け入れられるような適切な表現で説明しないとだめですよ。だから、そういうような業者は健全なのかどうかという……。力のない者を連れてきて早く急がせようやと、そういうようなことに甘んじた仕事、工程と同じだということを言われても文句は言えないと私は思いますよ、皆さん。ですから、これも直さないとだめ。  ある国会議員がそういうことで業者を頼んでくれというような、そういうようなことも間々聞こえる。いいですか。だから、あってはならないようなことを私は指摘するんであって、そういうような危機管理の場合には、専門分野は専門分野でやれるようなことにしないと私どもはだめですよ。  この会場で、山内和夫先生が、やめようやと、こういう発言をしたときもあるんですよ。いいですか。それをないがしろにしてやっているでしょう、皆さん。あの言葉を思い出してごらんなさいよ。あの言葉を忘れなければこういうことは起きるはずがない。だから、そういうようなことでひとつやってくださいよ。  例えば今のスタッドジベルにしても、そういうような品質検査をやっていれば──四本やらなけりゃならないのを半分よりやっていないとか、ないものを使っているわけでしょう。あなた方のそういうような施設をつくる場合にそういうことをやられたらどうなりますか。だから、今言ったように、そういうような工事現場の人は損はだめなわけですから、そういうような設計単価の評価で果たしてやられているかどうか、そういうところまで確認してもらわないとだめですよ。そこのところをひとつ保安院の方、どうぞ。 94 ◯上野議長 薦田審議官。 95 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今、先生の方から発注単価というような話も出ましたけれども、我々といたしましては、ここまで国として入り込むのはいかがなものかという感じがしておりまして、むしろ原燃が、この調達において、どういう点についてチェックを行い業者を選定するのか、あるいはどういうような形で発注をしていくのか、そのときに原燃はみずから何をチェックしていくのか、まさにこういうような品質保証の中の一つの分野であります品質管理につきましてちゃんとなされるスタイルになっているかということを我々が確認することによって、こういうものを防止していくことがやはり適切ではないかというふうに思っているところでございます。  先ほど申し上げましたように、こういうものが確実にできますならば、逆に言えば先ほどのような話は出てこないわけでありまして、また、今回、この請け負った施工業者の方で、例えばこのスケジュールではやれないとか、あるいはこのような金額じゃやれないぞというような場合については原燃と話し合うような仕組みも原燃は入れたというふうに聞いておりますので、こういうものを使いながら、今おっしゃったようなことは防止していきたいと考えておるところでございます。 96 ◯上野議長 太田議員。 97 ◯太田議員 今まではさておいて、これからはそういうことも必要ですよ。それから、保安院の方がそういうことはだめだと言うのは、例えば通産なんかでそういうようなことを参考資料として出すぐらいのことは言わないとだめですよ。  ですから、私どもは、先ほどから言っているように、一日も早くこの協定書を結んで──知事は、それはだめだと言っているらしいけれども、そうでなくて、そして、やっぱり化学というもののね、エネルギー政策について私は前向きにやっていただきたいと。  それから、きょう新聞に出ました。最終処分地。これを受け入れてもいいですよといったようなことが新聞にちょっと記載されておりました。これは物になるかならないかは別ですよ。時代は年々変わっているんですよ、真新しいものに。ですから、我々はそういうように時代を受けとめていくことも大事です。  そして、これからのこの原子燃料サイクルについての問題ですが、私はきょうまで──私の大先輩の方でそういうような指導者がありまして、話を幾らやっても、三分でお互いに納得できないときはそういう話はできるものじゃないですよと、こう言ったのが私の師匠の三村泰右先生であったんですよ。それからいま一つ、貧しさを憂えず、等しからざるを憂えるというのが昨今の北村先生ですよ。こういうものは頭から離れたことがありません。  ですから、こういうものと対比して見るならば、皆さん方は毎回、これからは絶対過ちを犯しませんと、こういうことで時間を過ごしてきたわけでしょう。それが何でそうなるのかということが、私に言わせれば非常に残念なことだ。言葉にはしたくない。だから、そういうようなことの中で、今まで言ったことは、我が党の代表の方がさっきから話をしている中で、すべてそういうような論点を指摘することは皆同じですよ。だけれども、基本的なものは何なのかということがちょっと足りぬなと思いましたから、こういうようなきつい表現になっているわけでありますけれども、私が──これは県民の声ですよ。  私は、先ほど申し上げましたけれども、いわゆる県民世論が二分したときの選挙も受けていますよ。非常に厳しいものでありました。厳しいけれども、私の町内からは反対だという人も二人ありました。私は賛成を打たなきゃならぬのですよ。それも堂々とやってきました。だから、その中にもいわゆる核燃に対する理解者がおるということですよ。そこのところを私はひとつ披瀝したい、そう思います。  そこで、最後になりました。今までの振興策というような中で、約一千億というようなものによって青森県の振興がなされてきました。これは、いわゆる原子力を立地したその経緯の中できているわけですから、やっぱりこれらは素直に受けとめなきゃならぬなというのが私の考え方です。  今までもこれからも皆さん方は発言があると思うわけですが、この問題については何といっても知事の判断が第一ですからね。だから、県民の声を大事にしながら──知事はそのとおりですよ。ですから、大事にしても、時間がどういうふうな調整になるのか、ここが大事なことだと思いますから、一日も早く協定書を結ぶべきだというのが私の考え方。ですから、知事に自分のそういう意見を披瀝して、知事の見解をひとつ確認したい、そう思います。 98 ◯上野議長 知事。 99 ◯三村知事 太田議員から協定書という話でございましたので、どの部分かなということを類推しますと、ウラン試験等のことなのかなということに基づきましてお話しさせていただきますが、県といたしましては、ともあれ、再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題について、本日もこうして、県民を代表いたします県議会の御意見、今後、市町村長の御意見、また原子力政策懇話会の御意見を伺うなど、私といたしましては、さらに慎重な手順を踏んだ上で、安全確保を第一義に──したがってどの問題についてもでございますが、慎重の上にも慎重にと。石橋をたたいてもというお言葉があるかもわかりませんが、慎重に、さらに慎重に判断してまいりたいという思いでございます。 100 ◯上野議長 太田議員。 101 ◯太田議員 私は、整理しながら、あえてその部門をやらなかったわけですが、この問題は包含されているわけですから、そこにおいて、私どももまた知事の考え方を理解しながら一生懸命支援してまいりたい、そう思います。  そして、きょうはこれからたくさんあるわけですけれども、とにかく一生懸命──くどいようですが、私は推進派の一人であると。これはなぜかというと、今、むつ市長が中間貯蔵を言っているわけですね。私はあの方とも議会の中で一定の時間を過ごしました。そのときは慎重派の中の慎重派であったんですよ。今、杉山先生──あの市長が何であれだけと。それだけ科学を信頼したな、私はこういう理解をしているわけですよ。このこともあえて発言して終わりたいと思います。  ありがとうございました。 102 ◯上野議長 以上で、午さんのため暫時休憩……  〔鹿内議員、議事進行について発言を求める〕 103 ◯上野議長 鹿内議員。 104 ◯鹿内議員 中谷議員の発言についてであります。  中谷議員の発言で、溶接の仕事量が、原発の六倍が再処理工場でということで確認したいと思います。検討会では六倍と言っています。しかし、佐々木社長は五倍という説明をされました。やっぱりここは、五倍なのか六倍なのか、神田主査もいて、国もいて、県もいて、だれ一人これを訂正しないということは問題です。これは議事録に残る話です。きちっと訂正してください。 105 ◯上野議長 神田主査。 106 ◯神田六ヶ所再処理施設総点検に関する検討会主査 検討会の主査の神田でございますが、検討会では六倍で検討いたしました。 107 ◯上野議長 佐々木社長。 108 ◯佐々木日本原燃社長 まことに申しわけありません。六倍でございます。おわびして訂正させていただきます。 109 ◯上野議長 午さんのため暫時休憩いたします。 午後零時十二分休憩     ─────────────────────── 午後一時一分再開 110 ◯小比類巻副議長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。  田名部定男議員の発言を許可いたします。──田名部議員。 111 ◯田名部議員 新政会の田名部定男でございます。  質問してまいります。時間が限られておりますから、こちらも単刀直入にいきますので、答えの方もよろしくお願いいたします。  まず、知事に伺いますが、原子力安全・保安院及び日本原燃から報告がありましたこの品質保証体制について知事としての所見を伺います。 112 ◯小比類巻副議長 知事。 113 ◯三村知事 日本原燃株式会社六ヶ所再処理施設の総点検について、県では、日本原燃株式会社からは、施工上問題のある溶接箇所が見つかった使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の補修を行い、平成十六年一月二十八日、国から使用前検査の合格証が交付され、健全なものに復旧したこと、品質保証体制点検については、設備及び建物の健全性の確認を書類点検、現品点検で行い、施設全体の健全性に問題がないことを確認したこと、また品質保証体制については、反省点が五点抽出され、社長みずからが先頭に立って全社を挙げて改善に取り組み、県民の信頼回復に最大限の努力をすること、原子力安全・保安院からは、日本原燃株式会社が実施した点検、補修等は妥当であり、再処理施設の設備等の健全性は確認されたが、品質保証体制については改善すべき点があり、今後、改善策が確実に実行され、それをフォローアップしていく必要がある、という報告を受けたところであります。  使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設のプール水漏えいに始まる一連のトラブルに関連して、当該施設での不適切な施工、それに対する補修の実施、また品質保証体制の点検を行わざるを得なくなったことは極めて遺憾であり、県としては国に対して、施設の安全確認に万全を期すよう事業者を厳しく監視、指導することを求めてきております。  六ヶ所再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題については、県民を代表いたします県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺うなど、慎重な手順を踏んでまいりたいと考えております。  今後とも、国及び事業者の対応状況を見きわめつつ、県民の安全、そして安心に重点を置いた対応をすべく、私どもといたしましても、安全確保を第一義に慎重に判断してまいりたい、そういう思いでございます。 114 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 115 ◯田名部議員 私が聞いている所見とは少し的が外れていると思います。  と申しますのは、知事は、四月二日、我々に説明した後に原燃に行きましたね。そのときの様子、コメントが報道されておりましたが、日本原燃は補修、点検についてはやるべきことをやってくれたと感じた、原子力安全・保安院から国の責任において安全性の確認はできたという報告を受けたが、私もそう感じたと。これが私が求めていた所見だったわけであります。  で、きょうあなたから全協の前に青森県議会議員全員協議会知事報告要旨というものを報告されました。あの時点から今日まで、実は議員全員協議会というものについて我々は、知事の考えが示された中で全協が開かれるのであればまだいいんですが、何もないまま──県民の代表である議員の皆さんの意見を聞きたいという話は理解はしますが、しかし、知事としての責任というものは私は感じられないわけであります。そのことを聞いているんです。もう一度お願いします。
    116 ◯小比類巻副議長 知事。 117 ◯三村知事 まず、見解を示すべきかということでございますが、私はあくまでも、県民を代表いたします県議会、市町村長並びに原子力政策懇話会というものを今回設置してございますので、そういった方々の御意見を賜りながら、国及び事業者の対応状況というものもこうしてきょう現実に見きわめながら、また、県民の安全、安心ということに常に重点を置いた対応をしていきたいという思いでございます。  報道でございますから、若干、的確性というか──私自身、四月二日に確かに六ヶ所の方にはお邪魔いたしまして、実際に現場を視察する限りにおいて、プールの点検であるとか補修は適正に行われているなという印象を持ったというお話をしたことでございますが、報道の仕方によってそういうことになっていることについてはお話ししておきたいと思います。 118 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 119 ◯田名部議員 我々議員としても置かれている立場は認識していますが、少なくとも、県庁にある原子力施設安全検証室、これは知事に対していろいろな意見具申をするところだと思いますが、本来はそういうところの所見とか知事の所見が明らかになった中で議員全員協議会が開かれるべきだと私は考えたものですから、今それをただしたわけであります。  これだけに時間をとるわけにいきませんので、次に移ります。  原子力安全・保安院の方にお尋ねしますが、報告書を見ましたら、今回の事案は安全規制に抵触するものではなかったが、信頼を大きく損ねたことから、事業者の信頼性の基礎となる品質保証体制を検証すべきと考えたとしている。今後どのような対応をしていくのか、また、安全規制体制の見直しも考えているのかどうか伺います。 120 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 121 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 お答えいたします。  まず、原子力安全・保安院では、先ほど申し上げました委員会が開かれました明くる日、三月三十一日付でございますが、院長名文書をもちまして日本原燃に対しまして、今回お配りいたしました評価を伝えるとともに、同報告書に盛り込まれました品質保証体制の改善策を着実に実施すること等を求めるとともに、当院として必要なフォローアップを行うことを既に通知したところでございます。  また、品質保証自体につきましては、昨年十月の新しい規制制度におきまして法令上の規制項目に組み込まれているところでございまして、この再処理施設につきましても、先ほどございましたが、現在保安規定の審査の最中でございまして、こういうものを通じまして、我々としてはこの品質保証がちゃんとなされる体制にあるかどうかということを確認していきたいというふうに考えておるところでございます。  また、当院といたしましては、今回設置いたしました検討会は今後とも設置していくつもりでございまして、原燃が魂の入った品質保証体制というものを本当につくっているのかどうかということをここにもお諮りしながら検証し、必要があれば原燃に対して必要なことを申し上げていく、こういうことで対処していきたいと考えております。  以上でございます。 122 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 123 ◯田名部議員 私自身、この種のことで品質保証という言葉を聞いたときに、かつて品質管理ということを我々もやってきましたけれども、こういう言葉があったのかなと認識を新たにしたわけです。  まず、国の認可制度など安全規制上の仕組みがあるはずでありますけれども、今回の事象をその仕組みの中でなぜ未然に防げなかったのかということが一番疑問に思っているところです。保安院の関係からいいますと、規制に抵触するものではないがということがありますが、いわば枠外の話であります。そういう中でこういう報告書が出されたこと──これからの事業者に対しての重要な提言も含まれていますが、何かしら自覚を促すような文言が並べられております。そこに対してどのようなかかわり方をしていくのかということを改めて伺っておきます。 124 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 125 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、なぜこういうことがこれまで当方の規制体系に入っていなかったかということでございますけれども、この原子力災害防止というのが原子炉等規制法の法目的でございますが、これを達成するためのキーとなる設備が実はあるわけであります。  例えば非常用発電機であるとか──何かあればこれが働くぞというものがあるわけでありますが、こういうハードのものであるとか一連の機能、性能につきましては、実は使用前検査等々によりまして国みずからが確認をしてきたわけでありますが、この範疇に属さない、むしろ安全を具現化するための前提となります品質保証体制そのものは事業者みずからが自主的に達成するべきものと認識していたところでございまして、あえて規制体系の中には入れてこなかったというものでございます。  しかしながら、このことが東電の不正事案の一因ともなりましたし、また、この六ヶ所の問題について見ますとプールでの多くの不適切な溶接につながったということでございまして、事ここに至り、品質保証というものもやはり規制に入れざるを得ないということで、昨年十月に新しい体制の中で踏み切ったというところでございます。  今後どういうチェックで行うかということでございますが、この品質保証体制を決めております規程というものがございまして、これは実は民間の方でつくった規程でございまして、これに合致していれば基本的には国としてもオーケーするというものでございますが、まず、この民間規程──JEACといっておりますけれども、これに適応しているかどうかというような観点から我々としてチェックをしていきたいと考えておるところでございます。  以上でございます。 126 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 127 ◯田名部議員 今、保安院の方からそういう話が出されましたけれども、この報告書の中を見ますと、問題のキーワードでありかなめである品質保証の意義について原燃は認識を十分に深め、具体的な品質保証活動に実効性を上げるよう求めていると言っていますが、この実効性をあらしめるためにはどういう決意のもとに進めていくのか原燃から伺います。 128 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 129 ◯佐々木日本原燃社長 佐々木でございます。  今、品質保証体制を確立し、その内容について明らかにいたしましたが、その実効性を高めていくのにはどうしたらいいかということの御質問でございます。  まさに現在は、品質保証体制の方向性、具体的内容を確立し、それを公表したばかりでございまして、もちろん、その中の品質方針を立て、できるものについてはもう既に始めてはおりますが、内容を実効性あるものにするのはこれからでございます。  まさに、私が先頭に立って、組織として品質保証室をつくり、そのメンバーに補佐をしてもらい、これからしっかりと進めていくわけでございますが、やはり一番大事なことは、私が先頭に立ってというのは言葉では言うはやすいんでございますが、現実にどうするかということですが、やはりこれは、トップである私、またそれを補佐する経営陣が現場の一線に至るまでその姿が見えて、そういった中で、我々がつくった仕事が具体的にきちんとなされていくといったことが一番大事だと思います。  そういった意味で、品質保証体制の具体的な内容に心を入れるというのか、魂を入れるというのか、そういった意味でこれから努めていきたいということでございます。  以上でございます。 130 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 131 ◯田名部議員 次に移ります。  今、品質保証という言葉が出てきましたけれども、今回は再処理施設についてのみの品質保証体制でありましたが、それだけで考えるべきではないという思いを私は持っております。  ウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物埋設施設、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理施設について、操業時はもとより、施設の増設等の建設時における品質保証の確立をどう考えているのか伺います。 132 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 133 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 ただいま議員から御指摘のありました点でございます。  昨年十月に省令改正を行いまして品質保証を導入する施設でございますが、これは、再処理施設のみならず、実用発電炉、さらに、ウラン濃縮を含む核燃料物質の加工の事業、そして放射性廃棄物の埋設の事業、放射性廃棄物の管理の事業、こういったものすべてに対してそれぞれの省令が改正されまして、品質保証を入れるということが決められたものでございます。  したがいまして、日本原燃におきましては、再処理事業、ウラン濃縮事業、放射性廃棄物の埋設事業、また管理の事業、これらすべてについてこの対象になるというものでございます。  例えば、日本原燃の改善策の中で、品質保証室を社の中につくると。この品質保証室というのは原燃のすべての事業が対象だということでございますので、例えばこういったところは、再処理事業に限られない、まさに代表例ではないかと思います。  あと、議員御指摘の点でございますが、建設段階の問題でございます。  今回導入した制度は保安規定にこの品質保証を導入するというものでございますので、厳密に言いますと、保安規定が制定される前の建設段階の問題がございます。この保安規定発効前の建設段階への品質保証の導入については、原子力安全・保安部会──総合資源エネルギー調査会の中にあります部会でも、まず当面検討すべき課題と位置づけられているものでございます。  ただ、原子力施設の保安活動に関する品質保証の基準──民間基準がございますが、この基準については、運転段階以外の建設段階、さらに廃止措置段階にも適用されるというものでございまして、日本原燃はこの規程に従っていると。したがって、今後品質保証活動を行うという意味では、建設段階まで日本原燃の方がきちんと対応するということにはなっているということでございます。 134 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 135 ◯田名部議員 次に移ります。  今のプールの水漏れに関する不良溶接の問題でありますが、原燃はこの施工会社のミスをなぜ見抜けなかったのかということが私の頭にあります。技術的に問題があったのではないかと思いますが、そうであれば、品質保証というものを工事に携わる方がどう認識されていたのか、また意識されていたのかということ、それについてどう確認していたのかを原燃に伺います。 136 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 137 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 今の御質問に対してお答えしたいと思います。  原燃の場合、施設を建設する場合に、まず元請会社に仕事を発注いたします。元請会社は、自分の会社ではできない部分については、元請会社の判断で施工業者へ下請発注を行っております。  その施工会社が仕事を行う場合には、当社が事前承認を行うという手続が必要でございます。施工会社を承認するに当たりまして日本原燃では、納入等の実績、技術能力、品質保証体制などを評価しておりましたけれども、今まではとかく実績を重視しがちでございました。  今後につきましては、今回の反省を踏まえまして、経営状態とか、それから品質保証に関する教育訓練計画、実績等も確認、評価するとともに、その実施状況につきまして監査などにより確認したいというふうに考えてございます。  以上でございます。 138 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 139 ◯田名部議員 水漏れの問題が出てきたときにある業者から聞いたわけでありますが、原燃の工事に従事する業者に対して品質保証というものを問いかけた場合に、合格する業者はなかなかないんじゃないかという話も聞いたことがあります。それくらいこの品質保証というものは厳しい問題でありますし、業者の資質の問題も問われてくるわけでありますから、そういう中でただ結果だけを見てきたということに対しては、この品質保証が一般の施工業者、あるいは工事に携わる方々にもっと認識されていたならこういうことはなかったろうと。  先ほども申し上げましたけれども、改めてこういう報告を見ますと、聞いてみてわかったようなわからないようなこの品質保証という言葉なんですが、原燃の建設工事に最初から携わってきた方々に果たしてこの意識があったのかどうかということを私は今疑問に思っています。  そういう意味では、これからの施設建設について、品質保証というものについては業者の資質も厳しく問うていかなければならないという認識を私は持っておりますので、私の意見として申し上げておきます。当然のことではなかろうかと思いますが、改めて申し上げておきます。  次に移ります。  人の問題でありますが、日本原燃に伺います。  品質保証を重視した人材配置と人材育成として、出向社員を減らし、自社社員の増加率を倍増させ、平成三十一年度までには九〇%にするとしています。出向社員では品質保証体制は確保できないという認識なのか、また、こういう表現をされますと誤解を招くおそれがあるということを私は指摘したいわけでありますが、これについて所見を伺います。 140 ◯小比類巻副議長 平田専務。 141 ◯平田日本原燃専務 日本原燃で再処理事業部長をしております平田でございます。  今、先生から御質問がありました状況でございますが、自社社員と出向社員につきまして少し状況説明をさせていただきます。  私どもの会社では昭和六十一年から当社の社員の定期採用を始めております。そして、その第一期生、これは少数ですが、今や部長の直前にくるところまで育っておりまして、初期に入った人は、当社の最初の安全審査であります事業許可申請をやりまして、設計をやりまして、工場製作に立ち会って現場の据えつけをしたと。その人たちが今試験運転をしてくれております。非常に優秀な社員に育っております。  一方では、再処理工場の現場が始まりましたのは平成五年四月からでございます。そういうことで、このプロパーの人たちは、再処理の勉強は大変やりましたが、建設現場の経験というのはございません。会社に入りましてから、核燃料サイクル等の再処理工場の運転の勉強はしておりますけれども、建設経験がございません。  そういうことで、管理監督者は電力会社、メーカー、また核燃サイクルの方から出向してもらいまして、建設業務の実務者として働いていただくとともに、プロパーの育成、指導の役を担っていただきました。  そして、現在私どもには約二千百名弱の社員がおりますが、プロパー社員は千三百名弱になっております。したがって、このプロパーの人たちが育つまでの間は、現在も、管理職、監督者というのは出向者の方に多くついていただいておるという状況でございます。  なお、建設段階から、これから試験運転ないしは操業の段階に移ります。そういうことになりますと、今度は二十四時間工場を運転する、操業するというこの人材は私どものプロパー社員が中心でございまして、それに核燃料サイクルから運転経験のある方に来ていただきまして、その方たちだけで運転操作をする人の編成をしております。今、電力会社等の出向者は、後方支援としまして全体の技術を取りまとめたり保守をしたりというところの分担をしておるという状況でございます。  以上でございます。 142 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 143 ◯田名部議員 向こう十五年間で九〇%に持っていくわけですが、しかし、こういう表現をされますと、その十五年間のプロパー社員が育つまでの間に人的な不安を抱えるのかなという気がしないでもないわけであります。そういう誤解のないように、誤解を招かないような表現方法にすべきだと私は指摘をしておきます。  最後になりますが、現場に派遣している県の職員がありますね。その役割と活動状況について伺います。 144 ◯小比類巻副議長 高坂環境生活部長。 145 ◯高坂環境生活部長 お答えいたします。  原子力施設に関する安全を確保するためには、第一義的には事業者が責任を持って取り組むとともに、法令に基づき一元的に安全規制を行っております国がその役割を果たしていくことが基本であるとなっております。  一方、県といたしましても、県民の安全と安心を確保するという立場からこれまでも、原子力施設につきまして立地村とともに事業者と安全協定を締結いたしまして、環境の監視を行う、それから必要に応じて施設への立入調査を実施するなど、安全確保を第一義に取り組んできております。  今般の一連の点検・補修作業につきましても、そのような立場から職員を現地に派遣し、作業に毎日立ち会ってきたところでございます。 146 ◯小比類巻副議長 田名部議員。 147 ◯田名部議員 前回、二年ほど前ですか、県が溶接のチェックのために県職員を派遣するということを発表されたときに、溶接の見方というものはプロでもなかなか難しいわけです。で、例えば検査結果を書類で検査するんであれば何も意味はないですよということを申し上げた経緯があります。ですから、県の職員がこの二年間でどういう活動をしてきたのかという興味もあったわけですが、なかなか難しい仕事だったと思います。そういう中で地道にやってきたと思いますが、これからの検査体制も含めて県のチェック体制というものをきちんとしておくべきだと私は思います。これは県の行政責任者として十分認識しておくべきだと思います。  あと、事業者としての決意をお聞きしようと思いましたが、先ほどからもう出ておりますので、これは省略して質問を終わります。 148 ◯小比類巻副議長 山内正孝議員。 149 ◯山内(正)議員 新政会の山内でございます。  田名部議員に引き続きまして質問させていただきます。限られた時間ですので、できるだけ簡潔にお伺いしたいと思いますし、また、簡潔にお答えをいただきたいと思います。  まず、今回の不良工事、私は原因と責任を明確にするべきであると。それをもとにして再発防止策をとることが必要だろうというふうに考えて質問させていただきます。  まず、品質保証体制でございますけれども、不良工事につきまして、日本原子力産業会議基盤強化委員会によりますと、原発の補修工事はほとんど初期段階から下請に出される、中でも電力は特に多いというふうになってございました。プラントメーカーが元請となって、その下に下請企業が連なる形であり、四層にも五層にもなる場合が多い、作業員の数がどんどん多くなり、最大でアメリカの二倍になることもあると。  今回の一連の不良工事の原因は、元請、下請、孫請という多層構造がそもそもの原因ではないのかなというふうに私は思うのでありますが、原燃が行った下請会社の聞き取り調査によりますと、先ほどの質疑の中でもございましたけれども、貯蔵プールの溶接作業が一つの施工会社に集中していたと。この会社にはプールの施工について実績があったことから、二つの元請会社が溶接作業を任せていたと。この下請会社は、施工経験の少ない会社を孫請として溶接の準備作業に利用したほか、元請会社へ報告せずに不良溶接を行ったということでありました。  また、元請会社の一社も、プールの工事は、先ほど話がございましたように通常の原子力発電所の六倍の量があるにもかかわらず、現地での工事の指導経験がない指導員を一人しか置かなかったことを明らかにしております。一般的には考えられないことであります。このようなずさんな工事の実態が原燃に伝わっていなかったと。これではトラブルが起きるのは当たり前であります。  そこで、発注者責任についてどのように受けとめているのかもひとつお答えいただきたいと思いますし、加えて、品質保証のトラブルのみならず人的トラブルも発生したという報道がございました。これは、四月一日、溶接業の会社を経営していた千葉県の六十歳の男性でありますが、刺殺されたという報道がございました。  この方は、六ヶ所村で溶接工事を請け負い、複数の仲介業者から派遣された作業員を使っていたが、契約や代金支払いをめぐりトラブルを抱えていたということでありますが、この概要を御存じでしょうか。  以上、述べてまいりましたけれども、今述べましたことに対する見解を示していただきたいと思いますし、また、この多層構造の見直し、改善と関連会社との連携強化、そして先ほど田名部議員からもありました、プロパーをふやしていく、その直営化についての考え方をお伺いしたいと思います。 150 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 151 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 まず、多層構造の受注体制について御説明させていただきたいと思います。  多層構造の受注体制につきましては、今御指摘がありましたように、原子力発電所を含め一般的にとられている体制でございますけれども、それ自体が直ちに問題であるとは考えてございません。  ただ、問題としましては、そのような体制の中で、品質保証の重要性が現場の第一線まで届いていなかったということが問題であるというふうに考えてございます。  そのような問題点に対しまして、今回の品質保証体制点検の結果の中にも書いてございますけれども、日本原燃と協力会社さん、これは元請会社、それから施工会社の両方でございますけれども、いろいろなレベル、これは、経営層であり、実際に現場で品質保証を責任を持って担当する部署、それから現場で第一線で働いている人たち、この人たちの間のコミュニケーションをいかに高めるかということに今後取り組んでいきたいというふうに考えてございます。  それから、発注者としての責任でございますけれども、日本原燃は国から再処理事業者としての指定を受けているということ、それから、青森県、六ヶ所村さんの方へは立地を要請させていただいて、それを受理していただいているということから、まずは日本原燃がきちっとした責任でさせていただくということが基本であるというふうに考えてございます。その上で、今回のような問題が起こった場合には、当社がこうむった損害等につきまして先方と責任を持って折衝を行いまして、その結果をきちっと公表させていただくということで責任を果たしたいというふうに考えてございます。 152 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 153 ◯佐々木日本原燃社長 佐々木でございます。  ただいまの最後の御質問の、新聞記事に書いてありました溶接の事件でございますが、その方が私どもの元請の下のところに就業していたということは承知しておりますが、それ以外のことについては私どもは承知しておりません。就業していたという事実については確認をいたしております。  以上でございます。 154 ◯小比類巻副議長 山内議員。
    155 ◯山内(正)議員 今お答えいただきまして、一つは、多層構造そのものは悪いわけではないと。ただ、私は、チェック体制に問題があったということは指摘せざるを得ません。この下請、孫請、あるいはさらにその下の請けがあるかもわかりませんが、いずれにしても、このチェック体制がきちっとしていなかったからこういう形になったということは指摘されてもしようがないことではないかというふうに思います。  それから、今、そういう下請、孫請の中で人的トラブルという言い方を申しましたけれども、人命が失われているんですね。やはり、こういうことは知らなかったでは済まされないと思うので、そういう意味も含めて、発注者責任、あるいは、せめてどういう事情でどうなったかぐらいは把握しておくべきだろうというふうに私は思いますので、これはぜひとも把握しておいていただきたい。このことだけは申し上げておきます。  余り時間がないものですから、次に進みます。  国では健全性評価の判断の的確性を確認したとしておりますけれども、どのような根拠に基づいて確認したのか具体的に明らかにしていただきたいと思います。保安院、よろしくお願いします。 156 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 157 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 日本原燃の方で実施されました設備等の健全性に関する評価についてでございます。  この点検には書類点検と現品点検の二段階がございました。  まず、書類点検に関しましては、ルールが十分特定できないですとか、いろいろな検査等の実施が十分でなかったとか、そのような点で現品点検に移行すべきと原燃が判断した内容につきまして、我々の検査官なり審査官がヒアリングを行ってその妥当性を確認したというのがまず第一点でございます。  さらに、この日本原燃の点検作業につきましては第三者機関というものが監査を行っております。この監査の報告書なり、第三者審査機関がどのような是正要望を点検に行ったか、その反映状況なども確認したというものでございます。  結果的には、この書類点検でよいと判断されたものの中からもさらに現品点検が行われて、その結果問題点が見つからなかったということで、そういった意味でも、この書類点検の評価は妥当であったということが言えるのではないかと思います。  次の現品点検の方につきましては、本年一月からでございますが、六ヶ所原子力保安検査官事務所の検査官が、基本的に毎日、しかも抜き打ち的に場所を選びまして、その点検作業に立ち会いを行いました。こういったところで、点検要領書に基づいてきちんと点検が行われているかどうかを現場で見たわけで、ここから特に問題はなかったという報告も受けました。  さらに、こちらにつきましても、最終的な結果でいろいろな弁について品質保証上の問題があったということですが、そういったところの実際の資料を確認したというところもあります。また、こちらについても第三者審査機関の監査報告書などをチェックしたと。  これだけの活動を行うことによって、健全性評価の判断は的確であったというふうに我々は判断したものでございます。 158 ◯小比類巻副議長 山内議員。 159 ◯山内(正)議員 次に、これからのスケジュールを先にお伺いしたいと思うんですが、先にスケジュールありきでは困るわけでございます。今こういうふうに議論がなされておりますけれども、安全性なり品質保証体制がきちっと確立されたと判断された時点だとは思うんですが、日本原燃として使用済み核燃料の搬入再開はいつごろを考えているのか、それから、ウラン試験の開始は当初のあれでは無理だと私は思うんですが、スケジュールの変更を考えているのか、この二点をまずお答えいただきたいと思います。 160 ◯小比類巻副議長 松本副社長。 161 ◯松本日本原燃副社長 ただいまの使用済み燃料搬入再開の件とウラン試験のスケジュール変更云々につきましてお答えさせていただきます。  まず初めに、使用済み燃料の搬入再開の件でございますが、使用済み燃料の搬入につきましては、一昨年十一月、使用済み燃料貯蔵プールの漏水問題が発生しまして、この問題の解決に専念しまして漏水問題をクリアするまでの間、搬入業務を控えることとしたい旨、県御当局に私どもから申し出たという経緯がございました。  プール漏水問題につきましては、長い時間を要しましたが、おかげさまで本年一月末までに補修工事をすべて完了し、国の使用前検査にも合格いたしました。さらに、品質保証体制の点検を含む再処理工場本体の総点検につきましても、先ほどからお話がございましたように、国から妥当である旨評価を得たことも踏まえまして、県議会の皆様並びに県御当局の御理解を得て使用済み燃料の搬入業務を今後再開してまいりたいというふうに考えまして、先般三月三十一日、社長から知事へ御報告の際にも申し上げたところでございます。  次に、ウラン試験のスケジュールでございますが、ウラン試験の四月中開始は極めて難しいということにつきましては御指摘のとおりでございます。  しかし、一方、国の再処理施設の総点検にかかわる検討会で結論を出していただいたこと、そしてまた本日、県議会全員協議会を開催していただきこのような説明の機会を賜り、私どもとしては大変ありがたく存じております。  私どもといたしましては、日ごろ日常的に、県内の各自治体はもとより、商工会とか、それから漁業団体、農業団体、あるいは婦人団体など諸団体に対しまして日常的に接触活動をしておりまして、そういう中で理解活動に取り組んでおるわけでございますが、今後より一層そういう理解活動に取り組みまして、状況の進展等も踏まえましてスケジュールについては詰めてまいりたいというふうに考えております。  以上でございます。 162 ◯小比類巻副議長 山内議員。 163 ◯山内(正)議員 あと、知事に一つお伺いしたいと思います。  知事は、安全性の確認とかいろいろなことで一生懸命頑張っておられる、これは評価いたしております。ただ、知事がどういう考えでやっているのか、いま一つ私には見えてこないのであります。  そこで、これは愚問かもしれませんが、知事は今のこの原子力政策について積極推進派なのか、あるいは慎重推進派なのか、まさか推進反対派ではないと思うんですけれども、これについてひとつお答えいただきたい。 164 ◯小比類巻副議長 知事。 165 ◯三村知事 私は、行政の推進にあってはすべてにおいて慎重であるべきだということを百石町長時代から──先生とはおつき合いがございますから御存じのとおり、してきたわけでございますし、その性格は変わっていないと思っております。慎重に慎重に考えながら、どうすべきかという思いでございます。 166 ◯小比類巻副議長 山内議員。 167 ◯山内(正)議員 最後の質問になります。  今までのことを考えますと、信頼回復が一番重要なことだと。もちろん、信頼回復ということは安全性が確立されたということになろうかと思うんですけれども、これに関しまして、これを回復するのは容易でない面もあろうかと思います。  そういう中で、これは、原燃、保安院、それから県の三者にお伺いしたいんですが、信頼回復のためにこれからどのような取り組みをしていく考えなのか、また、損なわれた信頼の回復ということについて基本的な認識をお伺いして終わりたいと思います。 168 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 169 ◯佐々木日本原燃社長 私ども、二年余にわたり大変御心配をおかけし、まことに申しわけございません。  ただいまお話がございました、私どもが現在果たすべき責任という点についてでございますが、今回そういった意味で二度とこういったことを起こさないようにということで品質保証の改善策を打ち立て、それをしっかりやっていくということを先ほど申し上げましたが、これをまさに実効あるものとしてきちんと進めていくことがまず基本だと思います。  その具体的な内容につきまして、県民の皆様にわかりやすいような言葉で、形で、また場を選びながら理解活動を進めることによって信頼回復に努めるといったことが我々にとっての大事な責任だと基本的に認識いたしているところでございます。  いずれにしましても、今後私どもといたしましては、安全確保を基本とした事業運営を進めることによりまして御信頼を得るように努めてまいりますので、御理解のほどをよろしくお願い申し上げます。  以上でございます。 170 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 171 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 保安院といたしましては、先ほど来述べておりますように、原燃の品質保証体制の確立というものを含めました今後の許認可をしっかりとやっていきたいというふうに考えておりまして、こういうものを通じて、規制庁たる我々が失った信頼というのもあるわけでございますので、こういうものを一つずつ取り戻していきたいというふうに考えているところでございます。 172 ◯小比類巻副議長 知事。 173 ◯三村知事 県といたしましては、今回一連のトラブル等を含めまして極めて遺憾な状態であったわけでございます。三月二十七日には中川大臣の方に、そして四月一日には、きょうお見えですけれども、薦田審議官の報告を受けた際にも、施設の安全確保については絶対的万全を期してほしいということを、そして、そのために事業者を厳しく監視、指導してほしいということを申し入れてきたわけでございますが、本県における原子燃料サイクル事業を含む原子力政策については国民、県民の理解ということが大前提であると思っておりますので、国及び事業者に対し、きちっと開かれた、しかもわかりやすい情報公開の徹底などについて今後強く求めていきたい、そう思っております。 174 ◯小比類巻副議長 次に、伊吹信一議員の発言を許可いたします。──伊吹信一議員。 175 ◯伊吹議員 公明・健政会の伊吹でございます。  午前中の質問と重複する点がございますが、お許しいただいて、そのまま進めたいと思います。  まず、今回の六ヶ所再処理施設におけるトラブルといったようなことを今回この場で協議、審議しているわけでございますが、今国が進めているこのエネルギー政策はあくまでも国の事業である、そのことを大前提としてこれから質問しておきたいというふうに考えます。  日本原燃株式会社処理施設品質保証体制点検結果報告書に対する評価の中で、原子力安全・保安院は、再処理施設の安全確認という任務を全うする立場としてみずからの立場を明らかにしております。また、同じく、「内外の再処理施設の事例をみても明らかなように、規模の大きな化学プラントとも位置付けられる再処理施設は、機器レベルでの漏えいや故障の問題を始め、様々なトラブルの発生は避け得ないと考えられる。また、特に、今後予定されているウラン試験等は、再処理施設の機能、性能を確認すると同時に、これまでの化学試験までには明らかにならなかった機器・設備等の不具合を、次の段階あるいは操業前に徹底的に洗い出すことも大きな役割である」としております。これは極めて重要な指摘だと私は考えます。  原子力政策が国のエネルギー政策であることからすれば、原子力安全・保安院が日本原燃株式会社にここで求めている役割は、実は、再処理施設の安全確保という任務を全うすべき立場にある保安院そのものの果たすべき役割であるとも言えると思います。  そこでお伺いします。  原子力政策はもともと国のエネルギー政策の一環であり、今回のトラブルの責任は、事業者のみならず、監督すべき国が最も問われるべきであると考えますが、国の見解を伺いたい。  また、今後、再処理施設の本格稼働に向けて、これまで以上に国が責任ある立場で指導、監督を強化し、このことを明確にしていくべきであると思います。先ほどの知事の答弁の中にもありましたが、県民、また立地受け入れ自治体の住民から見てわかりやすい、そうした明確化ということが必要かと思いますので、この点についても国の考えをお聞かせください。 176 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 177 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今、議員から御指摘がございましたように、今回のこの一連の問題につきましては国としても大きな責任を有しているということだと思っております。  今回のトラブルの一つ一つを見ておりますと、法令上事故報告に該当するものではございませんでした。ましてや、原子炉等規制法の法目的でございます放射線障害の防止という観点からこれに影響を及ぼすといったものでなかったわけでありますけれども、しかしながら、本来、事業者たる原燃が建設の段階で調査、検査あるいは監査等いろいろな品質保証活動を通じてその発生を防止すべきものがプールの運開後に多数出てきたということは、この品質保証を事業者の自主規制事項としてきたことが大きな要因となったものと考えるところでございまして、安全規制体系全体に目を光らせるべき保安院といたしまして大いに反省すべきものと考えているところでございます。  品質保証につきましては、既に法規制事項に取り入れたところでございます。今後この新たな規制体系の中でこの品質保証についてしっかりと見ていきたいということは当然でございますが、さらに、今御指摘がございましたように、今後いろいろなトラブル、まあ安全に影響を及ぼすようなことはないということは確認しておりますけれども、地元の皆様方から見ると、えっ、またかというようなものが出てくるということは当然予想されるところでございまして、こういうものが事前に地元の皆様方に伝えられ、あるいはそのための十分な準備がなされ、そして、起きたときには速やかにこれが伝えられ、解説がされる、こういうようなこともあわせてちゃんとできるように保安院としてきちっとやっていきたいと考えているところでございます。 178 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 179 ◯伊吹議員 改めて確認いたします。午前中、中谷議員が質問されました維持基準の設定ということについて、これはどう考えますか。私はこうしたこともしっかりと明確にするべきだと考えますが、いかがですか。 180 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 181 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 維持基準、これは実用炉に導入されたものでございますが、ちょっと繰り返しになりますが、高い圧力ですとか高い温度の中でひびがあったものについて、どのぐらいまでそのひびが許容できるかというたぐいのものでございます。  これにつきましては、再処理施設ではそういう環境とは少し異なっております。したがって、高い温度とか高い圧力でそのひびを許容するというような問題を検討する前提、環境がちょっと違っております。  ただ、考え方としましては、そういった施設の健全性をどう確保していくかというものについては、今後専門家からもよく意見を聞きながら考えていきたいと。原子炉で導入したものと直ちに同じものではないだろうというふうには思っておりますが、ただ、そういったところも含めながら、これはよく検討してまいりたいというふうには思っております。 182 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 183 ◯伊吹議員 わかりやすい日本語で言ってください。やるのか、やらないのか、どうなんですか。 184 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 185 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 炉の方で導入した維持基準、健全性評価というものと同じものではないと思いますが、再処理施設の安全性を高めていく規制のあり方というのは検討してまいりたいというふうに思っております。 186 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 187 ◯伊吹議員 一番の根幹の信頼性というものを第一義に確保するためにも──机の上で幾ら考えていてもだめなんです。現場の状況がどうなっているのか、そこを大前提として、県民の、また国民の信頼が得られるような取り組みをぜひともお願いしたいと思います。  次に参ります。  国は、事業者の信頼性の基礎となる品質保証体制について、「どのようなシステム、規格にも進歩はあり、同社の品質保証活動についても不断の改善に努めていくことが肝要と考える」と指摘しております。また、品質保証体制の自己評価及び改善策に対する評価の中で、保安院は、協力会社の品質保証活動について、日本原燃株式会社との一体的取り組みという観点からの監視の欠如が今回の一連の問題の直接的原因であり、品質保証体制上の大きな問題点であったとも述べております。これに対し日本原燃では、「協力会社を含めた品質保証活動の徹底」の中で情報公開の積極的推進をうたっております。  そこでお伺いいたします。協力会社の責任感の高揚を図る意味で、協力会社名をホームページなどで公表すべきではないか、また、事故、トラブルが発生したときは関係協力会社名を公表していくべきではないかと考えますが、日本原燃のお考えをお聞かせください。 188 ◯小比類巻副議長 平田専務。 189 ◯平田日本原燃専務 日本原燃の平田でございます。  現在、六ヶ所の原燃サイクル施設では大変多くの協力企業の方々の協力を得て操業・建設をしておりまして、先月も一日に約千七百五十名ぐらいの方の御協力をいただいております。  私どもとしましては、事故、故障につきましては、迅速に、正確に、わかりやすく公表に努めていく所存でございます。  なお、協力企業名につきましては、会社ぐるみの故意など社会的制裁の必要なものにつきましては内容も含めて公表を考えていきたいと思いますが、しかしながら、公表しないものもあるという御理解もぜひいただきたい、かように思っております。 190 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 191 ◯伊吹議員 これは、先ほどありました一つの社内的な基準でもいいです、何かきちっとつくって、要はわかりやすくしていただきたいんです。だめなものはだめ、こういう不正なものがあったらあったとそれはしっかりと公表する、そうした業者は仕事ができない、こういうようなモラルに満ちた事業形態にしていくためにもこうしたことの公表というのは必要かと思いますので、ぜひともお願いしたいと思います。  次に参ります。  燃料貯蔵プールのプール水漏えいに端を発した今回の再処理施設品質保証体制総点検におきまして、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設──F施設といいますが、及び再処理施設本体における計二百九十一カ所もの不適切溶接工や二百七十五カ所に上るシール部材等不適切使用、さらには埋め込み金物のスタッドジベル切断といった不適切施工など、明らかに施工段階でのヒューマンエラーによると思われる内容が報告されております。冒頭引用しました保安院の指摘どおり、規模の大きな化学プラントとも位置づけられる再処理施設は、機器レベルでの漏えいや故障の問題を初め、さまざまなトラブルの発生は避け得ないと考えられるとするならば、工事に携わる業者には、協力会社も含め、高い技術力が求められるべきであると思います。  そこでお伺いします。工事にかかわる協力会社には一定以上の技術力が必要であり、また、溶接技術にもいろいろなレベルがあると聞いております。プールの溶接にかかわった技術者の技術レベルはどのようなものであり、日本原燃ではどのようにそれを確認したのかお伺いいたします。 192 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 193 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 質問にお答えしたいと思います。  溶接の技術につきましてはいろいろな方法がございますけれども、今回のプールのライニング、これは厚さ四ミリから六ミリという薄いステンレスの板の溶接でございますけれども、この溶接につきましては、通常ステンレスの溶接に使われるティグ溶接と呼ばれる方法で行ってございます。  ティグ溶接といいますのはタングステン・イナート・ガス溶接の頭文字でありまして、通常ステンレスの板で使われるもので、この技術につきましては、国及びJIS、これは日本工業規格でございますけれども、その規格で定められた方法でございます。  今回、六ヶ所の再処理工場において溶接作業を行った溶接作業士でございますけれども、この国及びJIS等の資格を持った者に溶接をお願いしてございます。  で、その溶接を行った者の技術力の確認でございますけれども、国及びJIS等の資格を所有しているということを確認した上で作業に当たらせております。  以上でございます。 194 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 195 ◯伊吹議員 この問題は後々関係しますので、ちょっと後に置いて、先に進みます。  さきに触れましたとおり、品質保証体制の自己評価及び改善策に対する評価の中で、保安院は、協力会社の品質保証活動について日本原燃との一体的取り組みという観点からの監視の欠如が今回の一連の問題の直接的原因であり、品質保証体制の大きな問題点であったとも述べております。  そこでお伺いします。施工業者に対する日本原燃の監視体制について、どのような技術力を持った人がどのような頻度において監視を行っていたのか、この点についてお伺いいたします。 196 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 197 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 お答えしたいと思います。  F施設、いわゆる使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の建設当時におきましては、先ほどから御説明させていただいてございますように、発電所等の運転、建設の経験を有する者が少なかったということが事実としてございます。  そのような実際の現場の管理をする者でございますけれども、通常的には一日一回は現場に出向いて管理を行っていたわけですけれども、経験が十分でなかったということもありまして、問題がある溶接を防止もしくは発見できなかったということはございます。  今後は、このような反省に立ちまして、経験が少ない者につきましては、きちっとした研修を行い、それも技術としては認定を受けた上で立ち会いに当たらせるということで取り組みたいというふうに考えてございます。  以上でございます。 198 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 199 ◯伊吹議員 全部関連しますので、先に進みます。
     化学試験での硝酸漏れの際、そもそも図面と異なるガスケットが使用されていたとありますけれども、こうした資材管理の体制はどのようになっていたのかお伺いします。 200 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 201 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 お答えしたいと思います。  硝酸漏えいに関しましては、当社が元請会社に要求しておりましたいわゆるガスケット──パッキンとも称されますけれども、それの仕様──どのような材料のものかということでございますけれども、この仕様について元請会社がその内容を下請会社に明確に伝えなかったこと、それから、下請会社が耐硝酸性の十分でないガスケットを取りつけたにもかかわらず、元請会社がそのことを十分確認せずに当社に納入したことによるものでございました。  このため、化学物質を扱う設備につきましては、当社の要求事項が伝わるように元請会社への発注仕様等を明確にするというような見直しを行うとともに、当該ガスケットの施工を元請会社の自主管理に任せる範囲としていたものを、今後は、このガスケットのように化学安全が要求されるものに対しましては、要求どおりに施工されていることを当社としても確認したいというふうに考えてございます。  以上でございます。 202 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 203 ◯伊吹議員 管理というのは人、物、さまざまな管理がありますが、こうした事業を進める上で、建物をつくる上で、物の管理、その部材、資材の管理というのは当然イロハのイでございます。それがその現場に合ったものなのか、合わないものなのか、あるいは発注したものと違っていたのかどうなのか、そうしたことをしっかりと見きわめができなかったということ自体がそもそもの問題だというふうにも思いますので、この辺についても、二度とこういうことがないようにぜひともお願いしたいと思います。  次に参ります。  トップマネジメントによる品質保証の徹底を図るため、日本原燃株式会社は、原子力発電所における安全のための品質保証規程が定める管理責任者として新たに品質保証室長を任命することとしております。四月上旬を目途に設立するとしている品質保証室の行う具体的な内容についてお伺いいたします。 204 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 205 ◯佐々木日本原燃社長 私どもが改善策で設定することといたしました品質保証室でございますが、三月一日付をもちまして品質保証準備室をつくりました。これは、正式な名称を品質保証室にする時期にまだ至っていないということでございまして、準備室と申しましても、現実には品質保証活動の仕事を始めております。  ということでございまして、まず、今回の改善策の基本でございますトップマネジメントによる品質保証の徹底のために、私を補佐する専任のスタッフとして設置することといたしたわけでございます。  このメンバーは、御報告させていただきました改善策の一つでございます、私自身が先頭に立って進める品質保証評価のマネジメントシステムの確立を図るための補佐をする仕事でございますので、まず、品質保証にかかわる私の職務そのものがそのメンバーの仕事ということに相なります。  そして、念のためでございますが、今度設置する品質保証室は、再処理部門のみならず他の事業──ウランそのほか埋設等についても当然の仕事として担務させることといたします。具体的には、品質保証の策定、品質目標のレビュー、それから社内への周知徹底、協力会社との品質保証活動の協調などにつきまして、それを実効あるものとするために活動するよう、もう既に私がメンバーを指揮しているところでございます。  以上でございます。 206 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 207 ◯伊吹議員 今回燃料貯蔵プールのプール水漏えいの原因となりました計二百九十一カ所もの不適切溶接施工が施工段階でなぜ発見されなかったのか。施工段階では溶接管理者による溶接パトロールを実施していると聞いております。先ほども一日一回という話がありましたけれども、恐らくそれに当たるのかもしれませんが、いずれにしても、現場を巡回してパトロールをしているという体制はとっていたと。にもかかわらずこうした不適切溶接が見落とされたことは、管理体制の不備以外の何物でもないと言わざるを得ません。元請業者ごとに施工業者の技術的レベルが異なり、ばらつきがあるとの指摘もあります。  先ほど資格の話にちょっと触れましたけれども、私が承知しているのと若干違うかもしれませんが、社団法人日本溶接協会が認定している基本級TN-Fと専門級TN-Pの資格があれば、一般的には溶接工として働くことができるそうです。  しかし、再処理施設のような大型プラントが必要とする高い溶接技能を求めようとすれば、基本級と専門級だけでは決して十分とは言えないとの専門家の指摘もあります。メーカーによって資格認定に違いがあり、溶接技能を高めるため十種類程度の資格を独自に設けているメーカーもあります。溶接作業をしている手元を見れば、そのやっている人間の技能のレベルがわかるというのが本当のプロ中のプロだそうです。そうした専門家の指摘もあるぐらいです。  今後、本格稼働後も含め、施設の安全を守るため定期点検が行われることになるものと思いますが、そこでお伺いします。再処理施設が稼働した後の施設の定期検査は、どのような技術力を持った人がどの程度の頻度で行っていくのかお伺いします。 208 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 209 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 再処理施設の施設定期検査でございますが、これは、法令に基づきまして、毎年、年一回実施するというものでございます。  その実施の主体でございますが、これは、国の原子力安全・保安院と、昨年十月以降は原子力安全基盤機構の核燃料サイクル検査本部、こちらの検査員が分担して行うというものになってございます。  まず、国の場合でございますが、原子力施設検査官という資格を持った者のみがこの施設定期検査に当たれることになっております。  この原子力施設検査官の資格でございますが、工学系の大学を卒業の方の場合は、二年以上の実務経験、さらに、保安院で実施します研修がその要件というふうになっております。これを内規で定めているものでございます。機構の原子力施設検査員の資格につきましても基本的には同様のものを定めておるところでございます。  また、特に最近は原子力安全・保安院の場合も、長年メーカーでこの原子力の専門に携わってこられた方が中途採用という形でこの検査官に就任しているということもございまして、専門性の高い方が検査に当たるという体制を構築しているということでございます。 210 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 211 ◯伊吹議員 この原子力政策を進めるに当たって、その事業の中身そのもののプロの方々がこうした点検を幾らやっても、それだけでは片手落ちだと私は思うんです。今おっしゃられた方々は、例えば──済みません、今回の問題は不適切溶接に端を発しているので私はこの件に特化して話をしますけれども、今国が言われた方々はそうした溶接技術についてのノウハウとか知識あるいは技術というのはお持ちになるんでしょうか、どうなんでしょうか。あるいは、持っていなければ、それをサポートするような体制はとられるんですか、どうなんですか。 212 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 213 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 建設中のものでございますので使用前検査と溶接検査は別な検査体系になっておりまして、溶接検査につきましてはこれまでは原子力安全技術センターの職員がやってまいりました。こちらはまさにプロが溶接検査のみを実施するという体制でございました。  この溶接検査は昨年十月以降、原子力安全基盤機構の方に業務が移されましたが、やはりこちらも溶接検査の専門の検査官がおります。  溶接検査というのは基本的にはつくる段階のものでございまして、施設定期検査の段階に入りますとむしろ運用、性能の確認ということになりますので、施設定期検査の段階では溶接のチェックという形は余り行われるわけではないというものでございます。 214 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 215 ◯伊吹議員 私の認識不足なんでしょうね、私が現場の業者から聞いている話では、こういうプラントというのは稼働していけば当然金属疲労を起こしますよ。劣化するんです。溶接部分だって、どうなっているのか当然定期点検をやるというふうに聞いています。そうした点についてはいかがですか。 216 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 217 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 定期検査項目の中の、まあ基本的には性能検査でございますが、むしろ、ハードウエアのそういった面はまず事業者の中で行い、あと、日常の保守作業といった中で見ていくことになります。その意味では、この日常的な保守作業が行われているかどうかはむしろ保安検査の方の対象になりまして、保安検査官は、保安検査ということで年四回の検査のほかに、日ごろ、巡視という形で施設を見て回るということもやっておるわけでございます。 218 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 219 ◯伊吹議員 済みません、こればかりやっていてもしようがないのであれですけれども、要は、確かにいろいろまたがっているんです、体制が。だけれども、またがっているんであればまたがっているなりに、オーバーラップした、本当に全般を見られるような体制でパトロールしなければ片手落ちになるということを言っているんです。  で、よくよく調べてみると、実はそうしたプロはいるようでいないんですね。国が言っているプロという方は本当にプロですか。溶接のプロから言わせると、実はそうでもないという指摘もあるんです。  ですから、例えば新潟の柏崎の現場には秋田の方が行っているそうですよ。そういう話も聞きました。で、青森県の現場はどうでしたか。この間の技術者も、いわゆる首都圏の方から来られて、終わって帰ってもうだめになったという、そういう話も聞きましたけれども、要は、なかなか人がいないという問題があるようなんですね。  このことは次に触れますので置いておいて、先に進みます。  今回、品質保証体制の改善策の柱の一つとして、日本原燃株式会社採用によるプロパー社員を主体とした人員配置と人材育成を掲げております。  具体的には、日本原燃株式会社は今後プロパー職員を拡充し、現在の六割から十五年後には九割まで持っていくとしておりますが、責任を持って仕事を続けていくためには長く地元に居住する者であるべきと考えます。地元雇用をどの程度考えているのか。  また、今ずっと申し上げてまいりましたが、幾ら採用してもやはり技術力がなければだめなんです。そういう面での従業員の教育体制をどのように考えているのかお伺いいたします。 220 ◯小比類巻副議長 平田専務。 221 ◯平田日本原燃専務 日本原燃の平田でございます。  私どもの再処理工場と申しますのは、これから操業を始めさせていただきまして、少なくとも数十年は運転をさせていただきたいと思っておりますし、そこでできました高レベルのガラス固化体といいますのはさらに三十年から五十年この地で貯蔵、保管させていただきたい、非常に長期に仕事をさせていただきたい、かように思っております。  そういう意味で、建設段階では非常に多くの職種の方、また大変多くの人数の方を必要としておりましたが、これから操業段階に入って安定期に入りますと、当社、協力企業の方ともに通常時は、必要な職種だとか必要な要員というのはある程度固定化できるのではないかな、かように期待しております。  そして、原子力発電所の先進地などをよく見てみますと、年間を通して仕事のある方はその地に定住されております。そういうことからして、再処理工場関係も年間を通して仕事のある方は六ヶ所近辺に定住していただけるのではないか、かように期待しております。  なお、当社の従業員は先ほど二千百名ほどと申し上げましたが、そのうち青森県出身の人は、実はことしの四月一日に新入社員が入りましてちょうど一千名を超えたということを申し添えさせていただきます。  また、社員の教育でございますが、これは、新入社員が入りましたときの導入教育、また、数年の間に彼らの段階的な基礎教育だとか共通の教育をいたしまして、その後それぞれの技術の専門的な教育というものを実施しております。特に管理監督者につきましては、早く育成したいということもありまして管理監督者教育、また出向者の方につきましては、受け入れましたときに、早く私どもの戦力になっていただきたいということから、そういう出向者の方の受け入れ教育というようなメニューをそろえてやっている次第でございます。  以上でございます。 222 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 223 ◯伊吹議員 大分時間が迫ってまいりましたので、先に進みます。  国が今後も原子力政策を推進するに当たりまして再処理技術などに精通した管理職や操業要員の育成を図ることは、先ほど来ずっと答弁の中にもあった当然のこととして、溶接工などの施工技術者の育成こそ、この立地事業者、また立地場所において取り組んでいかなければいけない問題ではないかというふうに考えます。  大型プラントを施工する際、溶接工は欠かすことができません。特に、危険を伴いヒューマンエラーが許されない高い溶接技能を得るには、実は溶接技能だけではなく、電気のことも知っていなきゃいけない、あるいは化学のことも知っていなきゃだめなんですね。今まで全国的に起きている事故というのには、実はそうした知識がない方々がやっている事例が多々見受けられます。  したがって、幾ら溶接パトロールなど監視体制を強化しても、監視に当たる担当者の技術力が低ければ効果を上げることはできません。  ところが、先ほど触れたように、現在国が認定している溶接資格だけでは実は十分とは言えないのが現状なんです。エネルギー事業に従事できる人材育成は国が率先して行っていくべきであり、本県にそうした育成機関を設置すべきであると考えます。  国においても技術者の育成について積極的に取り組んでいくべきではないかと考えますが、この育成機関の設置も含めて国の考え方をお聞かせください。 224 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 225 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 規制当局の立場から申し上げさせていただきたいと思います。  そういった技術を持った方の育成は本当に重要なことだろうと思っております。具体的にどういうふうにやっていくかという案が今直ちにあるわけではございませんが、今御指摘の点の重要性を本当に認識していきたいというふうに思っております。 226 ◯小比類巻副議長 伊吹議員。 227 ◯伊吹議員 昨年十月から施行されました新しい検査制度で原子力施設の保安活動に関する品質保証が事業者に義務づけられました。再処理事業者についても使用済み燃料の再処理事業に関する品質保証を保安規定に盛り込むことが求められ、国が保安検査に基づき事業者の保安活動に関する品質保証を監視する仕組みが新たに導入されました。  一方、県や六ヶ所村、事業者においては、安全協定により安全性を担保しているだけでございます。しかしながら、この安全協定は、県と六ヶ所村、そして日本原燃株式会社の三者によるいわば紳士協定であり、法的権限のあるものではありません。国は事業者を監視するものの、安全協定締結者の県や六ヶ所村との間には実は法的裏づけはないんですね。  そこでお伺いします。原子力政策は国に規制権限が一元化されておりますが、トラブルが発生した際に前面に立って動くのは、実は県や六ヶ所村などの地元自治体です。一番の矢面に立たされるのは恐らく三村知事でしょう。そのことを考えたときに、地方自治体の立場、位置づけについて法律等で明確にすべき段階にもう来ているのではないかというふうに私は考えます。  先ほど来ずっと審議の過程の中でいろいろ議論されてまいりましたけれども、やはり、これまでこうだったからいいんだではない、見直しすべきものは見直しするという、そういう考え方を国も事業者も示しているわけですから、こうした点に基づいて国はもうそこに踏み込んでいくべき段階に入っていると考えますけれども、国の考えをお聞かせください。 228 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 229 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今、議員から御指摘がございましたように、局面局面におきまして、地方自治体──県、そして村の方々がいろんなところで御活躍されている、あるいは御苦労されているということは我々も重々承知しておるところでございます。  御存じのように、原子力安全・保安院というのは現在、原子力の分野では三百名の体制でやっておりまして、先ほどもございましたように、昨年十月から抜本的に見直された安全規制を実施しているところでございます。  また、新しくできました独立行政法人の原子力安全基盤機構、これもやはり去年の十月からスタートしておりますが、ここには四百人の専門家集団がそろったことになりまして、国として、他国と比較しましても恥ずかしくない十分な人員を持つに至っているところでございまして、こういう点で、保安規制というのは我々で十分にやっていけるのではないかと思っておりますし、またやっていくべきだろうと思っております。  しかしながら、先ほど議員から御指摘がございましたように、県の皆様あるいは村の皆様との連携なくしてやっていけないことも事実でございまして、我々といたしましては、地方公共団体、地方自治体との連携を密にしながら今後の規制を進めていきたいと考えているところでございます。 230 ◯伊吹議員 議長、答えになっていません。 231 ◯小比類巻副議長 伊吹議員に申し上げます。終わりでございますので。  次に、渡辺英彦議員の発言を許可いたします。──渡辺英彦議員。 232 ◯渡辺議員 まず最初に、知事にお聞きしたいと思います。  きょう、総点検にかかわって質疑をしているわけでございますが、今度は知事がどうするのかということで、あすの新聞を見ながら動向が出てくると思うんです。  そこでまず最初に、知事はこれから進められるウラン試験、まあ劣化ウランを使ってやるわけですが、及びアクティブ試験、これはもう本格稼働前の試験になるわけですが、これらについてどのような日程でもって進もうとしているのかというのがまず第一点であります。  それから二つ目は、この二つの試験をするに当たってまずは安全協定を結ばなければだめなわけでありますが、この安全協定はいつごろを目指して進もうとしているのかというのが二つ目であります。  それから、原燃さんもそうでしょうが、各原子力発電所は使用済みの核燃料を早く運びたいと思うんですね。それについての再開というものをどのように進めようとしているのかというのが三つ目であります。  そして、この再処理工場の最終的な稼働に向かっての安全協定というものを何年何月ごろに置いて、先ほど太田議員が質問したような、推進するための手順というものをどのように考えているのかということについてお聞きいたします。 233 ◯小比類巻副議長 渡辺議員に申し上げます。一問一答式でお願いします。  環境生活部長。 234 ◯高坂環境生活部長 四点につきまして順次お答えしたいと思います。(発言あり)環境生活部長でございます。よろしくお願いいたします。  まず第一点目、ウラン試験あるいはアクティブ試験についての安全協定の締結についてでございます。  再処理施設の試験運転につきましては、日本原燃株式会社の工事計画の現在のものによりますと、本年四月にウラン試験、平成十七年四月にアクティブ試験となっていると承知しております。  県としては、再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題につきましては、県民を代表します県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺うなど慎重な手順を踏んで見きわめてまいりたいと考えておりまして、事業者として試験計画を持っていることは承知しておりますけれども、現時点でその具体的なことについて言及できる段階にはないというふうに考えてございます。  それから二点目の、試験の安全協定の手続ということでございます。  県としては、ウラン試験に係る安全協定の締結に当たりましては、これまでと同様、県民を代表する県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会などの御意見を伺うなど慎重な手順を踏みまして、安全確保を第一義に慎重に判断してまいりたいというふうに考えてございます。  それから、使用済み燃料搬入の再開についていつごろと考えておるのかということでございます。  これも基本的な考え方は同じでございますけれども、県としましては、再処理施設の健全性、それから日本原燃株式会社品質保証体制の問題につきましては、県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺うなど慎重な手順を踏んで見きわめてまいりたいと考えておりまして、現時点で使用済み燃料の搬入再開の具体的なことについて言及できる段階にはないというふうに考えてございます。  四点目の、安全協定締結を含めた再処理工場の本格稼働はいつごろかという点についてでございます。  再処理施設の安全協定につきましては、県としては段階的に締結するという方針で進めてきております。今後、ウラン試験前、アクティブ試験前、操業開始前の三段階で、それぞれの試験計画や試験結果を踏まえて締結するということで考えております。  県としましては、再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題につきましては、県議会、市町村長、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺うなど慎重な手順を踏んで見きわめてまいりたいと考えておりまして、事業者として平成十八年七月操業開始という工事計画を持っていることは承知してございますけれども、県としては、安全確保を第一義に慎重に対処するという従来の姿勢を堅持いたしまして、総合的に取り組んでまいります。  以上です。 235 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 236 ◯渡辺議員 知事にお聞きましますが、知事は先ほど来、慎重の上にも慎重を期して、なおかつ石橋をたたいてと、こういう慎重さを示しているわけでありますが、実は各派代表者会議で鹿内議員からも出ておったことなんですが、きょう一回の協議会ではなく──これは事業者あるいは国と質疑をやっているわけですが、これからは県知事の動向が非常に注目されるわけです。そういう意味では、県民を代表する県議会とも何度か言っているわけでありますので、今度は県議会の全員協議会などをこれから節々で開いて進めていただきたいことを県議会に対して要請するお気持ちはないか一言お聞かせください。 237 ◯小比類巻副議長 知事。 238 ◯三村知事 県議会に対して要求する気はないかということでございますが、率直に問い合わせいただきたかったんですけれども、要するに、これまでも、いろんなことの段階において──これだけじゃなく田子のことでもそうですけれども、節々の必要においては全員協議会をお願いしてきたわけでございますし、その姿勢は変わらないわけですから今回もこうして伺っているわけでございますが……。
    239 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 240 ◯渡辺議員 ぜひとも、今回一回で終わらないで節々にやっていただきたいということをお願いしておきたいと思います。  次に、保安院にお聞きしたいわけでありますが、設計を認可して、施工するのは原燃が発注して行うわけですよね。そういう設計、施工ということが出て、ところがミスが続出しているということについて、きょうの保安院の出している内容を見ても、事業者に対する注文はたくさんつけているんですね。ところが、設計を出して認可をしているその本体である国の責任というのは何ら示されていないというのが読んだ私の実感なんです。  そこで、報道では何か任せっきりのような──去年の八月に初めて、こちらにいる主査の検討会というのができているわけですよね。それ以前に節々で当然検査体制というのをするべきだと思うんですよ。公共事業というのは中間検査とかはみんなやっていますよ。なぜ国だけそういう方式というものがないのか。私は、まさしくこれは国の失態だと思っているんですよ。したがって、この不良工事に関して国には国民に対する説明責任があるんではないのかと思うわけですが、これについてお聞きしたいと思います。 241 ◯小比類巻副議長 薦田審議官。 242 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、この委員会自体は昨年九月からということでございますけれども、これにつきましては、まず、プールの不適切な溶接が見つかりましたのは随分前になりますけれども、しかしながら、調べてみた結果これが非常にたくさんあるということがわかったのが、まさに去年の夏であったわけであります。  これは、一つ一つの問題について見れば、それが直ちに安全を損なうものにつながるということでもございませんし、今後何らかの対策をしていけばよかったわけでありますけれども、この二百九十というものが見つかりますと、これは単なるその場の対処では済みませんで、原燃全体を見直すような総点検をやっていく必要があるということで昨年秋からスタートしたものでございまして、こういう時間の流れの中でやったものでございまして、決してタイミング的に遅かったものというふうに認識しているわけではございません。  また、今回の報告書において国の反省が出ていないではないかということはあるかと思います。これは、先般ここの場で説明させていただいたときにも申し上げましたけれども、今回このようにたくさんの不適切な溶接が出てきたということは、やはり品質保証活動というものをこれまで事業者の自主規制項目としてきたことにあるわけでありまして、今回これを改めなきゃいけないということであったわけであります。  これについては、先ほど申し上げましたように十分に反省しているところでございますが、しかしながら、この問題につきましては昨年十月の段階で既に新たな規制体系の中で位置づけられているということでございまして、今回の当方の評価書につきましては、既に規制体系としてはできているということを前提に、そこで書かせていただいたということで、このような表現になっているということで御理解を賜れればと思っております。  国といたしましては、新たなこの規制制度をフルに使いまして今後このようなことが生じないようにすることこそが我々の責任というふうに思っておりまして、一生懸命やっていきたいと考えております。 243 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 244 ◯渡辺議員 この再処理工場の建設が始まったのは九三年四月なんですね。そして、水漏れが出てきたのが二〇〇一年の七月と。考えてみると八年間ぐらいあるんですね。その間ずっと建設されてきているわけですね。そういう形の中で、先ほど言ったように、公共事業であれば中間検査などをしたり、こうきているわけですが、おっとしの七月に水漏れというのは出たと。これは結露でないかとかいろいろあって、その判明までまた時間がかかったわけですが、これらの八年近くの期間について、国というものは、認可しておきながら検査などを一切しないでいるものなのかどうなのか、それぞれやってきたけれども見抜けなかったということなのかどうなのか、そして具体的には十五年の八月に検討会をつくったということなんだけれども、その時々の検査体制というのはどういうふうに行われてきたのか、それをお聞かせください。 245 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 246 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 まず、この使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の使用前検査について申し上げます。  この使用前検査は、平成五年の四月から平成十一年の十一月まで約六年半にわたりまして行われております。  この検査の内容は、土木工事の検査もございます。また建築工事検査もございます。また、機電といいまして、機械とか電気設備といった検査もございます。この施設全体ではそのような六年半にわたる検査がございます。  特にこの使用済み燃料受け入れ・貯蔵のプールの関係につきましては、平成六年の八月から平成九年の一月にかけて使用前検査を行っております。  この検査は、材料検査──ライニング板材の材料、これはステンレスでございますが、そういったものの確認、また、寸法検査といってライニングの厚さの検査、さらに据えつけ外観検査、そして耐圧漏えい検査、このような検査を平成九年一月にかけて、これも二年強にわたりまして段階的に実施してきております。  その上で、この使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設については、最終的には平成十一年の十二月に使用前検査合格証を出しております。この段階からこの施設の運用に入ったということで、そこまで使用前検査は続いていたと。  で、この運用に入りますと、施設定期検査ということを毎年やってきております。ここでは、こういった設備の検査というよりは、むしろ、水を循環させる機能ですとか、そういったことでちゃんと冷却機能が保てるかどうか、そういった検査の方に移ったわけでございまして、何か途中で検査を抜かしていたというものではございません。  ただ、残念ながら、この不適切な溶接部については表面が磨かれていたということもありまして、いわゆる据えつけ外観検査では発見はできなかったと。  また、この漏えいに関しましては平成十三年の夏から始まって、これは原燃の方で最初、結露水という判断があったわけですが、それが冬になっても続いているので、さらに原因究明がされて平成十四年二月に漏えいであることが検知されたということで、漏えいがない間については、ある意味では我々も問題がないということで、漏えいがあって初めてその現象に気がつきまして、漏えいであることが確認された時点で、漏えい箇所の特定ですとか原因究明などを文書で指示しております。  さらに、平成十四年十月にそれが不適切な溶接施工であることがわかりましてから全溶接線の点検をまた文書で指示したりと、そういったことをやってきているというものでございます。こういった指示文書は、参考資料でございますが、評価書の方につけさせていただいているところでございます。 247 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 248 ◯渡辺議員 そういう意味では、二〇〇一年七月の水漏れというのは救世主のようなもんじゃなかったんですか。  そこで、使用前の検査を二回もしなければならなかったという事実は、これまで原子力施設をつくってきた──そういう認可をしているおたくさんの方ではこういう事例というのはこれまであったんですか。 249 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 250 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 今回は補修工事でございますので、補修工事に対する使用前検査を行ったわけでございます。こういったものは、ほかの原子力施設でも、いろいろな補修などを行って再度使用前検査を行うということは一般的なものでございます。 251 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 252 ◯渡辺議員 そこで、再処理施設本体のウランの脱硝建屋の硝酸が通る配管に耐硝酸性でないシール部材が使われておったと。これは私は驚きなわけですよね。部材ですから、品質管理が何もされていないで使ってしまったわけでしょう。こんなお粗末なことがこの最先端の原子力で行われているということに大変な不信があったと私は思うんです。どうしてそういうものが出て、それこそ部材の検査のときに──工事に入る前に原燃の皆さんも検査していると思うんですよ。でも、それが通ってしまって、工事が終わってしまったわけだ。硝酸漏れがあって初めて指摘が出てきているわけでしょう。どうしてこういう結果になったんですか。 253 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 254 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 日本原燃の鈴木の方から御説明させていただきたいと思います。  今御指摘の、耐硝酸性になっていないガスケット(パッキン)が使われた件でございますけれども、当社の仕様は元請会社に伝えたんでございますけれども、その元請会社から実際に弁を製造するメーカーの方にきちっとした仕様が伝えられなかったということで、その件に関して当社は確認できていなかったということが実態としてございました。  すなわち、このような品質保証活動といいますのは当社だけで取り組んでいけばいいものではございませんで、元請会社、さらにはその次の下請会社、今回の場合は弁の会社でございますけれども、それも含めてこのプロジェクトに携わる者全体としての品質保証活動がなされるということが非常に重要であったというのが反省点でございまして、当時それができていなかったということでございます。  以上です。 255 ◯小比類巻副議長 坪井課長。 256 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 この部分に関します国の検査の関係でございますが、今回硝酸の漏れがあった部分は、全く核物質が通らない、試薬としての硝酸が通る部分のものでございましたので、国の検査対象にはなってございません。  一方、国の検査対象になりますような、まさに核物質が溶けている硝酸溶液の部分は、逆にこういったガスケットなどは一切使わない、すべて国の溶接検査対象となるような溶接構造だけでございますので、こういったガスケットの不適切な問題が生ずる余地がないような設計がそもそも講じられておるものでございます。 257 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 258 ◯渡辺議員 次に、化学試験中に三百七件の不適合等が確認されたとしているわけですが、そこで、これを次の段階に進めるためには移行条件になるものがあるわけです、ウラン試験に入るに当たって。そういった場合に、防災訓練をどの程度判断するのかというのがまず一つ、それから、安全確保及び環境保全に関する協定書の締結、それから、ウラン試験を行うために必要な保安規定及び計量管理規程、これはまだ保安院の方で作成されていないようでありますけれども、これらがどの程度具備されたときにウラン試験のゴーサインを出すのかということについて御説明をいただきたいと思います。 259 ◯小比類巻副議長 梶田統括安全審査官。 260 ◯梶田原子力安全・保安院統括安全審査官 お答えいたします。  ウラン試験前までに移行条件として具備していただくものの中には、今回の報告書の中でも触れてございますが、これまでの不適合等の案件三百七件に必要な改善措置が適切になされているかどうか、こういったことを確認するとともに、訓練につきましては、訓練の結果是正すべき点があれば、適切に是正しているかどうか、こういったことを確認いたします。  また、協定書等の締結に関しましては、締結されたことをもってウラン試験への移行条件を満たすものというふうに考えているところでございます。  以上でございます。 261 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 262 ◯渡辺議員 当初、九三年四月ごろに建てるときには八千億ぐらいで建てられるんじゃないか、こういう報道などがされておったわけでありますが、今日的に、この再処理工場が稼働するまでにどのくらいの経費が見積もられるのかということをお聞きしたいと思います。 263 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 264 ◯佐々木日本原燃社長 ただいまの御質問、建設工事費はどのくらいかということでございます。  私どもは、平成十一年四月に、再処理工場建設スケジュールにつきまして、操業は平成十七年七月といたしまして、総工事費を約二兆一千四百億円と申し上げてございます。  それで、昨年の九月でございますが、プールの補修、また品質保証体制の点検のため、操業開始時期を一年繰り延べさせていただきました。総工事費につきましては、現在、二兆一千四百億円でおさめるべく努力を重ねているところでございます。  現在までの工事進率は九五%となっておりまして、建設工事費につきましてもほぼその割合で投入しているというようにお考えいただければと存じます。  以上でございます。 265 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 266 ◯渡辺議員 そこで、おっとしの七月以降、今日まで補修、点検をやってきたわけですが、これらについて元請は何社ぐらい入って、下請というのはどの程度あるのか。そして、これらの事故についての損害賠償の請求とか、あるいはこれまでかかった経費というのはどのくらいなんですか。 267 ◯小比類巻副議長 佐々木社長。 268 ◯佐々木日本原燃社長 恐縮でございます。ただいまのはプールのあれでございますね。  プールの建設に携わった元請は三社でございます。その三社がさらに下請として施工会社を使ったりしておりますが、数は多くございません。典型的な会社は、今度のプールのトラブルを起こした会社でございます。  それで、損害賠償の問題の御質問でございますが、補修費用につきましては現在取りまとめを行っているところでございまして、我々としては、いろんな項目、費目につきまして、その数値を積み上げているところでございます。  それから、損害賠償につきましては、契約に基づくものでございますから、施工の立場にある者の責任に対しては当然求償させていただくように考えておるところでございます。  以上でございます。 269 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 270 ◯渡辺議員 最後に、航空機事故のときの衝突速度というものをどの程度に認識して再処理工場というのは厚さができてきたのか。品質保証の関係ではどういうことであったのか。そして、国においてはそのスピードというものをどの程度想定して、この壁の厚さ──天井とか側壁もあるんでしょうけれども、どの程度での──あそこには地対空、三沢米軍基地がありますので、そういう面で、設計上は毎秒どのぐらいのスピードで、厚さというのはどのぐらいでこれは防護できるんだと、そういう状況について原子力の方と保安院にお聞きします。 271 ◯小比類巻副議長 鈴木部長。 272 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 日本原燃の鈴木の方から設計について説明したいと思います。  質量というか重さですけれども、重さ二十トンの戦闘機が百五十メートル・パー・秒──一秒間に百五十メーターで衝突しても問題ない設計とすることとしておりまして、その戦闘機が衝突し得る部分につきましては、これに耐えるような建屋の仕様としてございます。  標準的な壁の厚さでございますけれども、まず強度としまして、圧縮強度、これはコンクリートの壁を押しつけたときにどれぐらいの力に耐えるかというものでございますけれども、三百キログラム・パー・平方センチメートル──一センチメートル四方当たり三百キログラムでございます。それから、鉄筋は、直径三十八ミリメートルの鉄筋が二百ミリメートルの間隔で入ってございます。壁の厚さは一・二メートルでございます。  今回の品質保証体制点検におきましても、このような建物がこのとおりにつくられているかということは確認しまして、問題となる箇所はございませんでした。  以上でございます。 273 ◯小比類巻副議長 梶田統括安全審査官。 274 ◯梶田原子力安全・保安院統括安全審査官 御説明いたします。  六ヶ所の再処理施設におきましては、航空機の墜落確率は極めて小さいとはいうものの、南方約十キロメーターの位置に訓練空域がございます。この訓練空域で数多くの訓練がなされているという社会情勢にかんがみまして、航空機の墜落に対する防護設計を行っているものでございます。  この防護設計に当たりましては、先ほど申しましたような距離にあるということから、施設に飛来する状況を想定いたしますと、最良滑空速度と申しまして、航空機が万が一のトラブルに際してできるだけ機体を遠くまでコントロールするための最も適切な速度──百五十メーター・パー・セクでございますけれども、この速度で施設まで飛来するということを想定して評価をしているところでございます。  以上でございます。 275 ◯小比類巻副議長 渡辺議員。 276 ◯渡辺議員 この問題については、国会でも取り上げられているようでありますし、裁判でも出ているわけですね。そして、この毎秒百五十メートルというのは非常に弱い速度ではないのかと。爆撃機とかがあそこに墜落するとすれば七千メーターとか千五百メーター──おたくさんの方では、千五百メーターぐらいの高さのところの話だということで百五十メートルと言っているようですが、実際あの爆撃機が飛んでいるのはもっと高いんですよね、最高でも七千メーターぐらいを飛んでいるという話ですから。そういうことで争点になっているわけですが、毎秒百五十メーターで一・二メートルの厚さで大丈夫だという根拠をお知らせください。 277 ◯小比類巻副議長 梶田審査官。 278 ◯梶田原子力安全・保安院統括安全審査官 訓練中の墜落による防護を考えてございまして、訓練中、コントロールが全くできないということになりますと、どういった高さからでも近辺に落ちる。で、何らかのコントロールができるということを想定いたしますと、先ほど申しましたような最良滑空速度にして飛来するであろうということが合理的に考えられるということから、そのような評価をしておるわけでございます。  以上でございます。 279 ◯小比類巻副議長 ただいまより十五分間休憩いたします。 午後二時五十三分休憩     ─────────────────────── 午後三時十三分再開 280 ◯上野議長 休憩前に引き続いて会議を開きます。  質疑を続行いたします。  相馬しょういち議員の発言を許可いたします。──相馬議員。 281 ◯相馬議員 それでは、質問いたします。  殊のほか安全性が要求される六ヶ所再処理施設について、多数の不適切な溶接施工やその他の不適切施工等が明らかになりました。  そこでお尋ねしますけれども、施設が完成した際に設計どおりであるのか、あるいは仕様書どおりであるのか、その工事等がそれらに合うかどうかの竣工検査、まあ使用前検査だそうですが、あえて一般的に使われている竣工検査と申し上げますけれども、竣工検査を実施したのか。何か余りにもいろいろなのが出てきて、竣工検査をしなかったんじゃないかなというような感じもしないわけじゃないですが、また、実施したとすればどのような機関で実施したのか、まずここからお尋ねしたいと思います。 282 ◯上野議長 坪井課長。 283 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の使用前検査でございますが、これは、平成五年から平成十一年まで約六年間をかけまして、当時の科学技術庁が検査を実施したものでございます。 284 ◯上野議長 相馬議員。 285 ◯相馬議員 科技庁が実施したと。科技庁は我々から見ると専門家の役所だと思うんですが、その役所がこんなに多くの不適正──渡された書類に不適正と書いておりますが、これは不良ですよね。不良です、間違いなく。なぜこんなにまでわからなかったのか、これについてひとつお答え願いたいと思います。 286 ◯上野議長 坪井課長。 287 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 この使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設のプールでございますけれども、これは、ステンレスのライニングと申しまして内張りがあるわけでございまして、そこの溶接箇所で不適切施工があったというものでございますが、継ぎ足し溶接など、表面が磨かれておりますと上から見たのではわからなかったというのが実態でございます。  また、ここの貫通欠陥と申しますのは、検査の段階にあったというよりは、表面が非常に薄くなっていたわけでございまして、そこに応力がかかって平成十三年になってそこが貫通欠陥に至った、それから漏水が始まったというふうに思われるところでございますので、このプールの使用前検査を行っておりましたのは平成八年とか九年の段階でございますが、その段階でこの貫通欠陥が最初からあったということがわかっていたわけではなかったので、この検査の期間では残念ながら見つけることができなかったんだろうと思っております。  また、不適切溶接箇所を二百九十一カ所と一言で言っております。これは、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の部分と再処理施設本体の部分がございます。再処理施設本体の部分はまだ合格証を出しているわけではなくて、今まさに使用前検査の途中でございますが、二百三十カ所強だったと思いますが、使用済み燃料受け入れ・貯蔵施設の方の不適切溶接でございますが、貫通欠陥と明確になっているのは五カ所でございまして、それ以外は表面から見てもなかなかわからないと。これは、今回の溶接箇所の点検の中で、フェライトとか磁束の測定とか、内側を探査するような点検を行って初めて、薄くなっていると。表面から見てはわからないんですが、そういった内部を調べる点検をやることでわかったところがその五カ所以外ということになるわけでございます。 288 ◯上野議長 相馬議員。 289 ◯相馬議員 そうしますと、この工事が行われて、使うまで大分期間があるわけですが、言ってみればその間に老化したということですかな。だんだん品質が悪くなったわけでしょう。 290 ◯上野議長 坪井課長。
    291 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 このPWR燃料貯蔵プールでの貫通欠陥の部分につきましては、つくりましたころにはまだ貫通欠陥はなかったと。貫通欠陥の部分の断面を切り出して確認したところ、つくった当時は、非常に薄くはなっていたけれども貫通にはなっていなかったと。それが、平成十一年に使用前検査に合格した後、ずっと水を張って、使用済み燃料も貯蔵されている中で水の圧力が徐々にかかっていった中で、その応力で貫通に至ったという評価が原燃の方の調査ではなされているというもので、当初から貫通欠陥にまでは至っていなかったものが、時間がたって、確かに劣化というか、応力の結果、貫通欠陥に至ったというふうに分析されております。 292 ◯上野議長 相馬議員。 293 ◯相馬議員 そうすると、その材質は最初からこの施設には不適格であった、こう断ぜざるを得ないんですが、いかがですか。 294 ◯上野議長 坪井課長。 295 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 使用前検査に合格証を出したときには漏水はなかったという意味で合格証は出しているわけでございます。あと、時間がたった中で──四年ぐらいたって漏水に至ったということは本当に残念なことでございまして、その結果、補修工事を改めて原燃の方で行って、貫通欠陥が生じたところのみならず、薄くなっていると評価された二百九十一カ所すべてについて、改めてライニングを張りかえるという補修工事が行われたというものでございます。  したがって、使用前検査合格証を出した段階から漏水があったというわけではないことは御理解いただければと思います。 296 ◯上野議長 相馬議員。 297 ◯相馬議員 かなり無理した答弁をしておりますね。やっぱり最初から材質が合わないんですよ、この施設には。大体、使う前から減っていくというんだから、こんなものを使っていたら大変なことになるんで、立地県である青森県にとっては大変なことですよ、ましてや六ヶ所村にとってはね。今になってやっとわかったじゃ、これは大変なことだと思うんですよ。  で、平成十五年十月に新しい検査制度ができて品質保証がつけ加えられたと。これは、この材質がだめだということがわかって品質保証をきちっとやらなきゃならぬということで十五年の十月に制度が改められたのかどうか、今回のこの漏水なんかがもとでこれが出てきたのかどうか、その点をお尋ねします。 298 ◯上野議長 薦田審議官。 299 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、昨年十月に新しい制度になったということでございますけれども、その直接のきっかけは東京電力の自主点検の不正事案でございます。やはり、こういうものを確実に防止していこうと思いますと、東電、あるいは電力会社全体の中でのチェック体制といいますか、あるいは管理体制、あるいは品質保証活動といっておりますが、こういうものが適正になされるような体制をつくることが大事だ、そして、これを国が確認していくことが大事だということで法体系を変えていったというものでございます。  これをやりますと、この六ヶ所の問題についても当然適用できるわけでございまして、結果的に東電の方がきっかけになっているということは事実でございます。 300 ◯上野議長 相馬議員。 301 ◯相馬議員 六ヶ所のこれが直接のきっかけではないと言っておりますけれども、何かきっかけになったような気が私はいたします。否定してもそういうように思わざるを得ないわけですが。ですから、これを改めて検査制度の中に入れたということは、本来、最初からこれをやるべきであったのではないかなと思うんですよ。恐らく、聞いている皆さんもそう思うと思うんです。後でこれは追加されているわけですが、これが必要だということですから、最初からこれは入っているべきものなんだと思うんですが、いかがですか。 302 ◯上野議長 薦田審議官。 303 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 今の御質問でございますが、まず議員にも少し見ていただきたいんですが、自動車の安全規制を行うために自動車会社の品質保証管理というのを国がチェックしているだろうか。していないわけであります。飛行機も同様であります。そもそも品質保証というのは、定義から見てみますと、事業者がみずからの製品、電力会社の場合ですと、みずからの安全というものが一定水準以上にあることをみずからが証明するための行為であります。事業者みずからが本来自主的に達成すべきものというのが品質保証というものでございます。  そして、この部分への介入といいますと、実は、国がこれでいいと言ったから、事業者は、じゃ、これでいいだろうというふうになるわけでございまして、品質保証活動に国が過度に介入いたしますと、事業者の甘えであるとか、あるいは事業者の自主性の阻害をもたらすという弊害があるということは従来から指摘されていたところでございまして、こういうことから、品質保証の重要性については国といたしましても十分重要だということは認識しておりましたけれども、法的な規制というのは控えていたというのが実態でございます。  ただ、事ここに至りまして、こういう原燃の二百九十一カ所もの不正溶接を見ておりますと、やはり法規制に入れざるを得ないというところで、今回法規制に踏み切ったものでございます。  ただ、今申し上げましたような問題があることは事実でございまして、今回この評価書を原子力安全委員会に御報告した際にも、原子力安全委員会からは、この点につきまして十分に配慮するように、すなわち、この弊害とメリットのバランスを十分に考えて保安院は規制を行うように強く求められたところでございます。  以上でございます。 304 ◯上野議長 坪井課長。 305 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 一つ補足させていただきたいと思います。  今回のプールの問題は材質が悪かったという問題ではございませんで、不適切な溶接施工──施工という行為に問題があったということでございますので、それを管理する品質保証活動というものが問題と判断しているものでございまして、材質に問題はないというふうに理解しております。 306 ◯上野議長 相馬議員。 307 ◯相馬議員 私は今聞いていて、自動車、飛行機と同じように扱っているのかなという──私は、大きな違いがあるんだろうと思うんですよ。だから十五年の十月にこういうふうに制度を改めたんじゃないんですか。飛行機、自動車と同じ感覚でいいということにはならないだろう、ならないからこれを入れたんじゃないかなと私は思うんですが、その点はいかがですか。 308 ◯上野議長 薦田審議官。 309 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 私は決して自動車と原子力の安全が同等と申し上げたわけではございませんで、ただ、事例として、恐らく皆様方が一番身近に接しておられる例えば自動車というもので見たときに、車検であるとか、あるいは安全性そのものは国交省が認可をしているはずでございますけれども、そういうときの、国が見るべきところと実際つくったところというのはやっぱり分けてきているという、世の中の、何といいますか、この品質保証活動はこういうふうに使われているという例を示させていただいたものでございまして、決して同等に扱っているわけではございませんので、誤解のないようにお願いいたします。 310 ◯上野議長 相馬議員。 311 ◯相馬議員 そうすれば日本原燃の方にお聞きしますが、なぜもっと真剣に、慎重に品質をきちっと管理してこなかったのか、その点についてお答え願います。 312 ◯上野議長 佐々木社長。 313 ◯佐々木日本原燃社長 ただいまの御質問、全くそのとおりでございまして、その建設段階におきます品質保証体制、これは先ほど最初の御質問のときにも御返事を申し上げましたが、私どもはもとより元請もあわせまして、この工事のどういったところに注目して、どういったところに難しいところがあるかといった点についてその品質保証活動をしっかりやらなかったことに問題があったことは確かでございます。  したがいまして、ただいまの御質問に対しては、まことに申しわけございませんがそのような事態が起こってしまったといった前提の上に、今後は起こさないようにといったことの仕組みを考えたということでございます。  以上でございます。 314 ◯上野議長 相馬議員。 315 ◯相馬議員 二百九十一カ所だとか二百七十五カ所だとか、まあほかにもあるわけですけれども、かなりいろいろなトラブルが多数発生したということでございまして、先ほどの保安院の答弁を聞いておりますと、何となくこれについて責任がないように聞こえるんでありますが、これだけのトラブルが発生していることに対する国の責任というものはないもんですか。 316 ◯上野議長 薦田審議官。 317 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、今回のその事象だけを見てみますと、プールの溶接部の不適切な溶接自体は安全に直接つながるという問題ではございませんでした。また国の報告対象でもないということでございますが、しかし、これが非常にたくさん見つかったというところにつきましては、まさにこういうような品質保証活動が原燃の中でなされていたということでございまして、ここにつきましては国として非常に責任を感じているところでございます。  先ほど来申し述べておりますように、この品質保証への規制というものをこれまで自主性に任せていたということが結果的にこういうものを招来したということでございまして、我々として深く反省しているところでございまして、先ほど申し上げましたように昨年十月から新しい体制になっておりますけれども、新しい規制ツールを使いまして、我々として、今後こういうことが原燃の中で起こらないようにその品質保証につきましてもきちんとチェックしていきたい、また、これによって、今我々が感じている責任というものを、皆様にお返ししていく形で果たしていきたいと考えているところでございます。 318 ◯上野議長 相馬議員。 319 ◯相馬議員 これからもトラブルは発生するだろう、こういう記述があるわけなんですよね。だとすればなおさら、国の責任できちっとやっていかないことには、これは大変なことになると思うんですよ。今までトラブルがたくさん発生しておりますから、県民はトラブルは発生するなと思っているかもしれませんが、こういう文書の中で、今後もトラブルは発生しますよということをはっきりうたっているわけですよね。これを見ますと県民も、えっと思うかもしれません。私一人じゃないと思うんです。  その書いている文章を読みますと、なるほどと思いたくないんですが、そんな感じもないわけじゃないんですが、これからも発生しますよということで、そのための対策をいろいろやらなきゃだめですということも書いております。  いずれにしても、立地県としては、時々トラブルが起こったのではたまったものではないですよ。むしろ、知事以下県の職員の皆さん方は大変なんです。県民は皆さん方に直接言うわけにいきませんからね。そういう点で、まあいろいろ書いてはおりますけれども、このトラブルについてこれから発生するかもしれないということを言っているわけですので、これについてはこれからの取り組みなんかも書いておりますが、私は全部読んでおりませんが、これからの具体的な取り組みについてひとつお答えいただきたいと思います。これは保安院と原燃の両方からお願いしたいと思います。 320 ◯上野議長 薦田審議官。 321 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 ただいまの点でございますけれども、まず、今後ともトラブルは起こるという前提のもとに万全の対策をとっていくということは大事でございまして、まず一番大事なことは、国としてやらなきゃならないことは、このようなトラブルが起きても、いわゆる放射線障害を与えるようなものに発展させない、これをいかに断ち切るかということでございまして、ここのところだけはまずきちんと確認していく、あるいは検査検査でやっていくということが大事でございまして、これにつきましては、ウラン試験への移行に関しましては既に基本的にチェックを終えているところでございます。  ただ、先ほど申し上げましたように、これだけでは地元の皆様方は恐らく不安感だけが募るのではないかというふうに思っておりまして、事業者である原燃につきましては当然、起こる可能性があるものをあらかじめ地元の方に提示していかなきゃいけない、そのためにはどう対処していくんだということもあわせて説明していかなきゃいけないだろうと思っております。また、生じた場合には、これを速やかに地元にお伝えし、説明し、御理解をいただく、こういうことを今後ともきっちりやっていくということが重要ではないかと思っておりまして、これも品質保証の一つの大きなポイントでございます。  我々といたしましては、今申し上げましたようなことが原燃できちんとなされるように、今後検討会も使いながらフォローアップをしていきたい、あるいは、そこで不備があれば指示をし、改善させていきたい、このように考えているところでございます。 322 ◯上野議長 佐々木社長。 323 ◯佐々木日本原燃社長 今後の試運転等におけるトラブル等に対する対応についてでございますが、今後行う試験運転──試運転でございますが、その目的は、各設備の機能あるいは性能を確認するとともに、ふぐあいを早期に発見いたしまして手直し、調整を行うことでございますので、私どもといたしましては、試運転の中ではやはり何らかのふぐあいが起こるという心構えで臨むことを基本認識といたしておることを申し上げておきたいと思います。  再処理施設におきましては異常が大規模かつ急激に拡大する可能性はないものでございますが、いろいろなふぐあいを想定いたしまして、どんな場合にでも放射性物質や放射線が施設外に出るようなことがないように、我々としては二重三重の対応をとっているところでございます。  試運転の実施に当たりましては、私ども、再処理工場では特に国内外の先行設備の状況等を取り入れまして、かつまた人の面でも、フランスのコジェマ社、あるいは英国のBNFL社、さらに日本のJNC──サイクル機構でございますが、こちらからも技術的な支援、さらに人的な支援を受けまして万全の方向で取り組んでいるつもりでございますし、あわせまして、先行施設においてどのようなトラブルが起こったかというようなことについては、我々、いろんな事例を集め、かつ整理をいたしまして、こういったものは起こるかもしれない、もし起こった場合にはどういった対策をするといったようなこともあらかじめ皆様にお知らせするといったことについて現在取り組みを進めているところでございますし、そういった取り組みについてはさらに加速させていきたいと考えているところでございます。  以上でございます。 324 ◯上野議長 相馬議員。 325 ◯相馬議員 トラブルが起きたときの県の通報ですけれども、過去にはかなりおくれてからの通報なんですよ。県の方から何度抗議を受けてもなかなか守られない。これからはそういうことは二度とあってはならないことですから、きちっと守っていただくことを要請しておきます。 326 ◯佐々木日本原燃社長 承知いたしました。 327 ◯相馬議員 それから、最後に知事にお尋ねいたしますが、四月二日、私ども議員への説明会があったわけでありますが、その後、現地の方へ行かれたようでありまして、施設の中にも入ったようでありますが、どのぐらいの時間入っておられたのか。  それから、その視察が終わった後、マスコミに聞かれて話をしたことが出ております。さっきも出ましたが、明確ではなかったもんですから、あえて申し上げます。「補修・点検については日本原燃はやるべきことをやってくれた、と感じた。原子力安全・保安院から国の責任において安全性の確認はできた-という報告を受けたが、私もそう感じた」との報道がなされておるわけでありますが、これはそのまま受けとめていいのかどうかお答えいただきたいと思います。 328 ◯上野議長 知事。 329 ◯三村知事 四月二日は私みずから六ヶ所へ行ったわけですが、二時間ほど現場の視察等をさせていただきました。私としては、実際に現場を視察した限りにおいては、プール部分の点検、補修は適切に行われているなという印象──あくまでも印象を受けたところであり、報道機関からの問いかけに対してその印象を述べたものでございます。  若干詳細な御答弁は必要でございますか。 330 ◯相馬議員 いや、今もう一度質問しますから。 331 ◯上野議長 相馬議員。 332 ◯相馬議員 知事は、前から──きょうもそうですけれども、慎重の上にも慎重を期して対応すると言ったのに、この報道が事実だとすれば、この現場で安全を確認したようになっちゃったんだよね、知事が。ですから、二日前に言っていた慎重に対応するというのとこれはどうつながるのかと思ったんですよ。その点について。 333 ◯上野議長 知事。 334 ◯三村知事 したがいまして、記事ではこう短くなっているんですが、ちょっと思い出したところで話をさせていただきますが、ぶら下がりに対しまして、実はプールの漏えい部分なんですけれども、前回、ちょうど漏れているところ──国会議員時代でございましたが、ちょうど盛んに漏れている現場を拝見させていただきました。漏れているところへ来まして、そういう状況があったもんですから、きょう、こちらにお願いして──こちらとは原燃でございますが、お願いして一番地下まで潜らせてもらったんですけれども、本日は、全く漏れていないという部分については確認ができたなと思っておりますが、ともあれ、今後私どもといたしましても、安全確保を第一義にこの事業について協力してきたわけでございますから、さらに、県議会、また市町村長さん方、そして原子力政策懇話会、また県民の方々を含めましてさまざまな方々に御説明いただくということになっておるはずですので、そういった点、また推移等を見守っていきたいと思っております、そういうわけで、補修、点検については、何十万カ所を含めてとのことの説明等を伺い、やるべきことをやってくださったというふうには感じております、というふうに話させていただきました。 335 ◯上野議長 相馬議員。 336 ◯相馬議員 わかりました。慎重を期して今後も対応していただきたい、こういうことを申し上げまして終わります。 337 ◯上野議長 相馬議員の質疑を終わります。  次に、諏訪益一議員の発言を許可いたします。──諏訪議員。 338 ◯諏訪議員 日本共産党の諏訪です。  今度の問題が法体系上どのように扱われたのかという点に絞っていきます。  保安院の見解によりますと、日本原燃の問題については、建設段階における事業者の品質保証体制のあり方についての問題と認識している、昨年十月に施行された再処理規則等の改正は、東京電力の不正問題を踏まえ、運転段階における事業者の品質保証体制を規制制度に導入するものである、当院としては今後、日本原燃の問題を踏まえ、建設段階の事業者の品質保証体制をどのように規制制度に導入するかについて検討していくこととしている、というものであります。つまり、品質保証体制には建設段階と運転段階がある。日本原燃は建設段階のものであって、どのように規制制度に導入するかは今後検討していくというものです。この内容が、四月二日の説明会に報告された一連の資料、文書等に記載されているかどうか明確にしていただきたいと思います。 339 ◯上野議長 坪井課長。 340 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 ただいま議員御指摘の点でございますが、確かに、平成十五年、昨年十月から導入いたしました新しい検査制度は、保安措置、運転段階の品質保証というものでございます。  具体的にどこに書いてあるかということでございますので、報告書のページで言わせていただきますが、保安院の評価書の二十三ページから二十四ページにかけてでございます。二十三ページのところで、大きく6の「国としての対応」と…… 341 ◯諏訪議員 いい、わかっている、わかっている。 342 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 よろしいですか。 343 ◯上野議長 諏訪議員。 344 ◯諏訪議員 わかっていると言ったのは、そのページでどういうことを書いているかわかっているから、わかっているというぐあいにしたわけです。それが問題なんです。  いいですか。保安院の評価について全体を通して読み取るならば、原子力施設の保安活動に関する品質保証の基準であるJEAC4111-2003の要求事項を満足しているかどうかに全体として焦点が当てられているんです。その基準を法的に担保する省令の扱いはなきに等しいものであります。わずかページ二十三の「国としての対応」の部分に出てくるだけで、しかも、何ゆえに品質保証を法的に位置づける必要に至ったか、その理由さえ述べられていません。もしそれが日本電気協会のJEACに関する技術評価書によっているとするならば、そのことを明記すべきであります。  平成十五年十一月十四日付で出した検討会の評価意見についても、その基本的事項が欠落しています。  それぞれ見解を述べてください。 345 ◯上野議長 坪井課長。 346 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 まず、この新しい検査制度は、東電の原子力発電所の不正記録問題を契機といたしまして、原子力安全保安部会、これは総合資源エネルギー調査会の部会でございますが、こちらでの検討を経てつくられたものでございます。  ただ、ここは運転段階以降の品質保証だということで、建設段階の品質保証の法令への取り込みについては今後の当面の検討課題であるということを明記した文書を昨年十二月の保安部会にも提出しております。この保安部会は当然公開で行われておりますので、建設段階の品質保証は今後速やかに検討すべき事項だということは明確にしているつもりでございます。  一方、御指摘のとおり、JEACと申します民間でつくられた規程は、運転段階を主たる対象とするものの、建設段階、さらに廃止段階にも適用できる基準であるということも事実でございまして、原燃の方ではこの規程を踏まえながら保安規定の中にこの品質保証を取り込んでいくということも事実でございます。  したがって、建設などについての一定の効果は期待できるわけですが、法令への取り込みについては今後の課題であるということは御指摘のとおりでございます。 347 ◯上野議長 諏訪議員。 348 ◯諏訪議員 要するに、今度の品質保証への取り組みは法的に根拠づけられているものでないという問題なんです。いいですか。あなた方は、平成十五年十月一日改正のいわば品質保証の追加導入をやったと。しかし、それはあくまでも運転段階のものであって、今度の日本原燃の六ヶ所の建設段階におけるものについてはJEACを基準にして品質保証体制の作業に取りかかったんですよ。何ら法的に位置づけられているものではないんです。あくまでも、国の技術評価書において、省令との関係でこのJEACが十分それを満足しているかどうかという評価で出てきたのであって、今度の品質保証体制の作業が法的に位置づけられたものではないんです。私は、そのことを今度の問題で大変重要な問題だというぐあいに指摘したいわけです。  なぜならば、今後のウラン試験、アクティブ試験もみんなそういうものとかかわる問題なんです。保安院の方は、規制体制はほぼでき上がった、今後六ヶ所にも適用していくことになると簡単に言いますけれども、これはそう簡単な問題ではないですよ。それはあくまでも、保安規定に導入された品質保証問題によって運転段階において活用できるのであって、ウラン試験やアクティブ試験は単なるテストであって、法令に基づいたチェックはできないという問題もここで働くんですが、その点をひとつ確認しておきたいんです。ウランテスト、アクティブ試験は、今度の平成十五年十月一日改正の品質保証問題の導入部分が法的に規制された形で規制になるのかという問題を答えていただきたいと思います。 349 ◯上野議長 坪井課長。 350 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 運転段階と申しておりますが、保安規定につきましては、ウラン試験は保安規定がなくては実施できません。したがいまして、このウラン試験を始める保安規定からは品質保証が導入されたものとなります。したがいまして、ウラン試験段階以降は品質保証が法令上も義務づけられ、それが保安検査で確認されていく、こういうことになるものでございます。  運転段階の意味を正確に申していなくて恐縮ですが、核物質を搬入する時点からは、運転段階といいますか、保安規定が必要で、それに品質保証が要求される、そのような仕組みになってございます。 351 ◯上野議長 諏訪議員。 352 ◯諏訪議員 この問題は最後まで全部やりますが、原燃改訂版報告書のページ二十三「反省点のまとめ」、あるいは保安院の評価について、ページ八「品質保証体制の自己評価」、ページ十七「当院の評価」の「問題点への対応」、ここに出てくるんですが、五点挙げていますが、そのうちの一番最初に「化学安全の観点及び不具合発生時の影響を考慮した品質保証上の配慮が十分でなかった」としています。  ところが、改訂前の二月十三日付の点検結果報告書では、「反省点のまとめ」の1)に「化学的な安全性など原子力安全以外に対する品質保証の考慮が十分でなかった」という表現になっています。表現が変わりました。  同時に、その意味するところを、「反省点のまとめ」の上の段で、改訂前のものには「当社の関与が薄かった、非放射性流体を扱う「原子力安全の観点では重要度の低い設備」」としていた中の「非放射性流体」が削除されました。なぜそうしたか答えていただきたいと思います。 353 ◯上野議長 鈴木部長。 354 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 再処理計画部の鈴木から御説明させていただきたいと思います。  今御指摘の点でございますけれども、この報告書をまとめるに当たりまして、いろいろな事象、これは、この報告書を取りまとめるまでに至った、例えばプールからのプール水の漏えい、硝酸の漏えい、それから埋め金等でございますけれども、これらにつきまして、なぜそのような不適切な工事が行われたかというものについての根本原因の分析を行いました。で、その結果につきましてまとめたものがその五点の反省点でございます。  その反省点をまとめるに当たりまして、一体どういうところに問題があるかということを社内で検討するとともに、保安院さんの六ヶ所再処理施設に関する検討会の方に御報告をさせていただきまして、審議を受けました。その過程の中で、表現が非常にわかりづらいということで、いろいろ工夫をさせていただいた結果というのが一番大きな理由でございます。
     もともと再処理施設を設計して建設するときには、放射性物質を取り扱うということ、それから、放射性物質を取り扱うだけでなく硝酸等の化学薬品を取り扱うという再処理工場の特徴を勘案して設計し、建設を行ってきたわけでございますけれども、その中で、放射性物質を扱わない、これを非放射性というふうに書いたわけでございますけれども、そこの部分についてはやはり配慮が十分でなかったというところがございました。それから、全く放射性物質がないということではなくて、放射性の濃度が薄いところについても配慮が十分でなかったというところで、そういうことを全部包絡して、誤解のない表現ということで工夫させていただいた結果でございます。  以上でございます。 355 ◯上野議長 諏訪議員。 356 ◯諏訪議員 わかりにくさを排除するためにそういう言い方にしたと言いますが、逆に言うとわかりやすかったんですよ。原子力安全と原子力安全以外のものという認識があったと。放射性流体と非放射性流体というぐあいに区分したことがその重要度の高さ、低さというところにつながって、今度のような問題を惹起した要因として1)に挙げられたんです。逆に言うとわかりいい表現でもあったんです。  使用済み燃料のプールも重要な施設であります。大体にして、原子力にかかわる施設の中で、重要度のあるものとそうでないものとを分けて考えるというところにそもそもの問題点があるんですよ。実際問題、今度の問題を起こした要因にそういう扱いをしておったというのが日本原燃の対応だったんですね。ところが、そういう言い方で書いたところを、何かまた人に見られるがゆえにそういう是正措置をとったのかなという印象を受けたから確かめたわけでございます。そこまで神経質になってたださないとこういう問題というのはだめなので、聞いたわけであります。  そこで次に移りますが、反省点のまとめは1)から5)まであるわけです。そして、5)が、1)から4)の事項に関してトップマネジメントの関与が不足していた、これが根本原因分析から導き出されたものとしているわけです。私は、この見方、このとらえ方に最も根本的な弱点があると言わざるを得ません。なぜなら、これまでの建設段階であろうが運転段階であろうが、品質保証に関する規定もそのための体制も何の法的根拠を持ってこなかったところに1)から5)の問題を発生させた最も導き出されるべき根本的な要因があるというぐあいにしないとだめだと思います。そのことを認めるべきだと思いますが、いかがですか。 357 ◯上野議長 薦田審議官。 358 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、今回のような不適切な溶接であるとか、あるいはスタッドジベルの問題であるとか、こういうものが非常にたくさん出てきたということは、やはり、品質保証というものを法規制の中で担保せず民間の自主性に任せていたというところに一つの原因があると我々として認識しているところでございます。まさにおっしゃるとおりではないかと思っております。反面、非常に寂しいことでもあるわけでございますけれども、事実であると。  ただ、先ほど若干誤解もございましたけれども、原燃の再処理施設につきましては、去年の十月の制度改正によりまして、今後の原燃の活動につきましてはその品質保証が法規制の中に組み込まれるということでございまして、我々として、この法的なツールを使って活動できる、あるいはその安全性を担保できるという体制になったわけでございまして、このところを、今の保安規定の認可であるとか、あるいは保安検査等を通じましてしっかりと見ていきたい、こういうことでございます。 359 ◯上野議長 諏訪議員。 360 ◯諏訪議員 やんわりと言っていますが、ある意味で言えば、1)から5)の反省点で問題になった根本的な要因について認められた答弁をしたわけであります。ここは極めて重要な答弁だというぐあいに私は考えています。  ただ、そこでとどまってはだめだというぐあいに思います。今度の規制改正というか、品質保証の追加導入という問題は東電のトラブル隠しの問題を一つの出来事にしていますが、「もんじゅ」のナトリウム火災しかり、東海村の再処理施設の火災爆発事故しかり、ジェー・シー・オーの臨界事故しかり、今度の再処理施設のこういう問題とも共通している事柄なんですね。そして、なぜそういうことがずっと重なってきたか。そこには品質保証問題があったと。  品質保証問題については、JEACも国際基準を参酌しながらたびたび改正を重ねてきたんですが、あるいは国際基準そのものも歴史があって水準を高めてきたんだけれども、しかし、法的な位置づけのないまま放置されてきたということに、今日さまざまな問題を食いとめることができなかった今度の再処理施設の最大の問題があったということをしっかりと肝に銘記すべきである。そのために、建物段階でも昨年の十月一日改正の品質保証体制問題をしっかり導入させて、今の品質保証体制の作業が法的根拠を持って行われるべきであるというぐあいに考えますが、その点も明確にしていただきたいと考えます。 361 ◯上野議長 薦田審議官。 362 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 まず、六ヶ所の問題につきましては、先ほど坪井が述べましたように、今後の六ヶ所の施設の活動そのものがもう既に法規制に入っているということでございまして、特に不都合があるものではございません。  ただし、今後恐らくほかの施設でも建設段階における品質保証問題が出てくるのではないかということもございますし、あるいは六ヶ所でも、形式的に申し上げれば、何か新しいものを追加するというときは建設という行為に入りますので、これは、六ヶ所全体にかかっている品質保証──今回我々が見ている保安規定上の、運用段階での品質保証でカバーできるわけでありますが、法的に言えば、やはりつくるときの別途の品質保証上のチェックというのはできるにこしたことはないことから、我々としては、できるだけ早急に、建設段階においても品質保証を国として法的にちゃんとチェックできるように、そこのところは保安部会に諮りながらやっていきたいというふうには思っておるところでございます。 363 ◯上野議長 諏訪議員。 364 ◯諏訪議員 終わりにしますが、わかりにくいんですよ。これから法規制に入っていくんだという言い方をするでしょう。しかし、他方においては、建設段階の問題、今の再処理施設の品質保証体系の問題なんですよ。これについては法規制ができるように検討していくとかという、こういう二重の意味の答弁をするからわかりにくくなるんですよ。法規制がかかっていないんですよ、建設段階だから。そこを明確にしてもらいたい。 365 ◯上野議長 審議官。 366 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 誤解のないようにお願いしたいんですが、六ヶ所の再処理施設につきましては、これからのステージ、ウラン試験以降につきましては建設段階ではなくて、法律上は運用段階として保安規定がかかり、そこに(聴取不能)見るということでございまして、今おっしゃったような建設段階での扱いとは異なりますので、そこのところは誤解のないようにお願いしたいと思っております。 367 ◯上野議長 諏訪議員。 368 ◯諏訪議員 私は建設段階の話を聞いているんです。品質保証にかかわる点検作業をずっとやってきたんです。JEACを満たすかどうかということでずっとやってきたんです。そして、そのための保安院のチェックも入ったり評価もあったりでやってきて、それで全員協議会もやっているわけですよ。ところが、その建設段階のさまざまな問題が法の規制対象にならないんですよ、今。ウランテストだとかそういうのは全部、保安規定の中で品質保証が入っていくんですよ。ところが、これまでやってきた作業が法的根拠を持たないというところに問題があるんじゃないかと言っているわけですよ、私は。法的根拠はないでしょう。 369 ◯上野議長 薦田審議官。 370 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 過去にさかのぼり見た場合に、例えばこのプールの建設において品質保証がかかっていなかったではないかということはまさに事実でありますし、あるいは、今の段階で仮にプールをつくるということになったら、やはりかからないことは事実なんですね。品質保証に法規制がかからないことは事実なんです。  ただし、六ヶ所は既にこれからウラン試験に入りますので、これから先はウラン試験に入るということをもって品質保証にすべての法規制がかかっていくということでございまして、皆様方からごらんになれば、これからは六ヶ所は品質保証が法律的に位置づけられると同等と考えていただいて何ら問題はないというふうに思っております。 371 ◯上野議長 諏訪議員。 372 ◯諏訪議員 今後のウラン試験云々とかという議論を今私はしているんでないんですよ。今まで建設段階において品質保証上の問題が起きたんです。ところが、それを法的にチェックする仕組みがないんですよ。あるのはJEACという民間規格だけなんですよ。で、去年の平成十五年十月一日の改正のものは、運転段階の品質保証問題が省令によって追加導入されたんです。ところが、建設段階についての保安院の見解は、規制制度の導入について今後検討していくという答えをしているわけでしょう。これまでの六ヶ所再処理施設の建設段階における品質保証問題が今問題になっているんです。ところが、これをチェックするのに何の法的根拠も持たないで我々議論するという問題が出てくるんじゃないかと言っているんです。何の法的な根拠もないで作業をやっているという問題が出てくるじゃないですか。そのままを見て、そのとおりだと言えばいいんですよ。 373 ◯上野議長 坪井課長。 374 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 過去の品質保証体制に不備があったことに基づいて、今回改めて設備の健全性の総点検をしたと。本来、この設備の点検──これもある意味では行政指導でございます。文書で指示をしてやらせたのは行政指導ということで、再度改めて設備の点検を行って、ここで一回健全性を確認したと。したがいまして、御指摘のとおり、確かに昔の品質保証体制というのは問題がありました。この問題の結果、つくられている設備の健全性を現時点でまずチェックしたというものでございます。したがって、原燃の品質保証体制は今後法的にチェックできるようになっていくということを申し上げているものでございます。  法律の問題でいいますと、法令ができた後、過去にさかのぼって罰するというようなことはないのと同じだと思います。過去の建設段階の品質保証に問題があったのはまさに事実でございますが、その設備の現在の健全性は、この品質保証とは別に、まさに書類点検、現品点検という法令に基づかない行政指導ベースでやっていただいたものと理解しております。 375 ◯上野議長 以上で諏訪議員の質疑を終わります。  続いて、鹿内博議員の発言を許可いたします。──鹿内議員。 376 ◯鹿内議員 今の諏訪議員の質問を私もそのまま続けます。  ウラン試験のときに、いわゆる法規制のかかっていない再処理施設の設備とかのトラブルを見つけたってこれはどうにもならないんですよ。核物質で汚染される前に再処理施設が安全かどうかということを確認しなきゃならないはずなんですね。ですから、ウラン試験でどうのこうのじゃないんです。ウラン試験の前に、法規制ができる前につくられた施設設備をどう保証するか、どう品質保証を確認するかということなんです。そこはいかがですか。 377 ◯上野議長 坪井課長。 378 ◯坪井原子力安全・保安院核燃料サイクル規制課長 そのハードとしての健全性、いわゆる設計どおりにできているかどうかは、書類点検と現品点検で今回原燃がそれをチェックしたというものでございます。  また一方、国は、災害の防止上支障があるようなものに関しますハードウエアの点検は使用前検査でずっとやってきているところで、これはまさに今継続してやっているところでございます。 379 ◯上野議長 鹿内議員。 380 ◯鹿内議員 今の説明ではちょっと納得がいかないので、後でもう一度やりたいと思います。  それじゃ、日本原燃にお尋ねしますが、現品点検としての直接確認、間接確認、追加確認はトータルで十六万基やったというわけですが、これは二百三十人の職員が二カ月でやったということになっているんですね。このそれぞれの件数をまずお尋ねします。 381 ◯上野議長 鈴木部長。 382 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 お答えさせていただきたいと思います。  現品点検の件数でございますけれども、まず、書類で確認が不十分なもの、これは十六万基のうちですけれども、直接確認が約一・二万基、間接確認が約九・五万基、間接確認とプラス追加確認のものが約三・三万基、追加確認を行ったものが約二・二万基でございます。  それから、書類の信頼性・信憑性確認のために行ったもの、これは代表設備についてですけれども、三千八百三十四基でございまして、これはすべて直接確認により健全性を確認いたしました。  以上でございます。 383 ◯上野議長 鹿内議員。 384 ◯鹿内議員 この現品確認点検というのは全部、直接目で見たり寸法をはかってやったかと私は思ったんですが、そうすると、十六万基のうち実際に外観を検査したり寸法をはかったりということをやったのはせいぜい一・二万基だということで、残りの十四万八千基ですか、これは、原子力技術センターの記録だとか、そういういわゆる文書の記録でやったということになるんですね。 385 ◯上野議長 鈴木部長。 386 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 お答えさせていただきたいと思います。  直接確認といいますのは、実際に現場で寸法測定を行ったもの、そのほかに追加確認というものは、直接確認、間接確認では健全性の確認が十分できなかったものに関しまして、実際のものを分解することによって確認を行ってございます。  以上でございます。 387 ◯上野議長 鹿内議員。 388 ◯鹿内議員 十六万基の現品確認と言っているわけですが、これは、十六万全部の現物を見て、その寸法をはかったりチェックしてということじゃなかったと。実際は、さっき代表設備が三千八百というお話をされたわけですから、二十七万基のうちの三千幾らで数としては極めて少ないというぐあいに思うんですが、それはいかがですか。 389 ◯上野議長 鈴木部長。 390 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 そのような印象を持たれるかもしれませんけれども、品質保証といいますものは、きちっとルールを定めまして、記録を残しながら行うということが基本でございまして、そのような信憑性がある記録が確認できたものについては、実際のものを見たものと同等というふうに考えてございます。 391 ◯上野議長 鹿内議員。 392 ◯鹿内議員 書類点検二十七万基を約三カ月、それで十六万基の現品点検を二カ月間、この実態というものがまだ報告されていないんですね。どれくらいのボリュームになるかわかりませんが、この具体的内容を後ほど文書で議会に示していただきたいと思うんですが、それはいかがですか。 393 ◯上野議長 鈴木部長。 394 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 この点検の結果でございますけれども、すべて六ヶ所施設総点検に関する検討会の方で御説明させていただいております。したがいまして、御要請があれば文書として提出させていただきたいというふうに思います。 395 ◯上野議長 鹿内議員。 396 ◯鹿内議員 私はその資料を見せていただきましたが、私が知りたい情報は入っていませんでした。したがって、今原燃さんから言われましたが、とりあえず、原燃さんが資料を出したいという部分については提出を要求しますので、ぜひ提出していただきたいと思います。  この点検方法なんですが、スタッドジベルの切断について、再処理本体が四十四万枚のうち二十三万枚については記録があると。これは十二月二十六日の第六回の検討会なんですが、残りの二十一万のスタッドジベルは記録がないんですね。これはどうして健全だと確認できたんですか。 397 ◯上野議長 鈴木部長。 398 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 済みません、数字を確認させてください。申しわけございません。 399 ◯上野議長 鹿内議員。 400 ◯鹿内議員 それじゃ、後で教えていただきたいと思います。  それから、原因についてなんですが、二月五日の第八回検討会で井川委員が、どうして不適切溶接が行われるのか何ら分析されず、原因が判明していないと。きょうの神田主査は、去年のうちに、ですから第六回か四回ぐらいですか、それでもう判明したと言っているんですが、第八回の検討委員会で委員からこう出ているんですね。  私も報告書を見ましたけれども、なぜ不適切溶接をしたのかと──それがばれなかったというんじゃないんですよ。なぜその業者が不適切溶接をしたのかという部分については、委員の間でも、第八回でもこういうぐあいになっている。報告書にも私は見ることができません。  したがって、再度お尋ねしますが、この溶接の原因、さらに、これにかかわる国、事業者の責任の所在について、これは国にお尋ねします。 401 ◯上野議長 薦田審議官。 402 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 第八回の検討会におきます井川委員の発言というのは、実は、溶解槽の温度計の誤設置の問題で化学試験報告書の中に原因に関する言及がなく、日本原燃から報告されていることにつきまして言及したものでございまして、既に検討会で原因究明の検討が行われてきた不適切溶接施工に関する発言ではないというふうに承知しているところでございます。手元に議事録もございますが、それを見て申し上げているところでございます。  温度計誤設置の問題の原因につきましては、その後の検討会の場で日本原燃から説明が行われているところでございます。  なお、不適切溶接などの原因につきましては、原燃から提出されております点検結果報告書に入っておりますし、また当院の評価にも入っておりますけれども、要は、先ほど五点とございましたが、最終的に、「化学安全の観点及び不具合発生時の影響を考慮した品質保証上の配慮が十分でなかった」などの五点に集約されるというのが委員会の結論であったわけであります。  また、国の責任につきましては、先ほどから申し上げておりますように、品質保証というものを事業者が自主的につくるべきものということにあったわけでありまして、これについては、先ほど申し上げましたように、国といたしましても反省しているところでもございますし、既に法令に取り入れたところでございます。  以上でございます。 403 ◯上野議長 鹿内議員。 404 ◯鹿内議員 これについてはまた後でお尋ねします。時間がないので、先に進みます。  次に、品質保証対策というのはここ数年の間、何度もされてきたんですね。で、日本原燃の社長が知事のところに何回も来て、頭を下げておわびをして、これから頑張りますと言ってきたんですね。それでも防止できなかった。あれほど品質保証をやると言ってきたんですね。でも、できなかったんです。その原因を国はどう分析しているんですか。  また、日本原燃は、これまで公の場で、まあきょうは見えていないようですが、幹部役員の方は、日本原燃の品質保証は大丈夫ですと。例えば溶接検査についても、フィルム検査をしているから大丈夫だということを、国の技術検討委員会でしたか、その場でお話をされていますよね。原燃として、対外的に大丈夫だと言ってきた。にもかかわらず、その責任というのには一切触れていないんですね。あいまいなんです。それを国はどう考えているんですか。 405 ◯上野議長 薦田審議官。 406 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 実は、議員御指摘の点につきましては、当院の評価書の二十二ページのところになりますが記載しておりまして、原燃のこれまでのふぐあいへの対応というものが、その水平展開が十分なものとならず、それぞれの問題への個別的な対処にとどまった結果、全体としての品質保証体制の点検にまで至らず、品質保証体制は全体の整合性や個々の活動あるいは会議相互の有機的な連関に乏しいものとなっていたと。要は、何かあったときに、そこの近辺だけを一生懸命見て、全体がどうなっているかということまで見なかったというところに、原燃が品質保証上の問題として何度も知事に御説明をしなければならなかった原因があるということを指摘しているところでございます。  これに対しまして今回の原燃の改善策というのは、社長の指導的役割を明確にしまして、まさに今申し上げましたようなこの欠陥を是正しようとしている。すなわち、自主的に相当程度改善が見られるということを我々として考えているところでございますし、また検討会でもそのような評価をいただいたところでございます。  ただ、今後この改善策が効果的に機能していくということが重要でございますので、原燃執行部のそういった面での責務は極めて大きいものではないかと考えておるところでございます。  国といたしましても、原燃がこのような新しい体制になるかどうかということはしっかりと注視していきたいと考えておるところでございます。 407 ◯上野議長 鹿内議員。 408 ◯鹿内議員 品質保証体制点検の柱の一つに、再処理施設が設計どおり建設、施工されて、設備、建物の健全性が確認されているかということがあります。日本原燃がおつくりになった二月二十九日の報告書の概要にはこれは全くないんですね。で、三月十日の改訂版の概要には「設計どおり建設」とあるんです。ところが、三月十七日の最終概要では、設計どおり建設、施工されているというこの極めて重要なフレーズが全くなくなるんですね。どうしてこうなったんですか、その理由をお尋ねします。 409 ◯上野議長 鈴木部長。 410 ◯鈴木日本原燃処理計画部長 私の方から回答させていただきたいと思います。  報告書につきましては、取りまとめる段階で、現場の作業等の進を見ながら、表現に間違いのないようにということで、いろいろ工夫させていただいた結果でございます。  二月二十九日の時点でございますけれども、現品点検の結果、図面と現品とが相違しているものが、バルブ──弁でございますけれども、四件ございました。図面と現品の材料は相違していたものの、当社の要求は満足していたということから、健全性は確認できたものと解釈してそのような表現にいたしました。  また、当該弁については、その時点で設計仕様どおりの材料に取りかえ、また、図面に記述されている仕様を変更するという作業を行っておりました。したがって、報告書概要においては、二ページ目の3「設備及び建物の健全性の確認結果」においては特に記載はせず、「おわりに」のところで総括して、「点検の結果、設備及び建物の健全性は確認できたところである」旨を記載してございました。  三月十日の時点におきましては、既に弁の取りかえ及び図面の変更等は済みましたので、「設備及び建物の健全性の確認結果」のところの記載を御指摘のような記載に変更するとともに、「おわりに」のところの記述、これは六ページでございますけれども、それもそのまま記載いたしました。  その後、最終的に報告書を改訂する段におきまして、表現、これは重複等も省いてわかりやすくするつもりでございまして、「設計どおり建設」という部分を削除いたしました。  なお、報告書本体ですけれども、「目的」のところの二ページ目でございますけれども、健全性の確認の定義ということでこの部分が残っておりますので、趣旨としては変更したわけではございません。御理解いただきたく、よろしくお願いします。  それから、済みません、先ほど回答できずに後ほどとさせていただいた埋め込み金物の点検の結果でございます。  全体四十八万枚のうち──済みません、報告書の百三ページなんですけれども、点検結果の総括表をまとめさせていただいてございます。全体点検したものについては、まず記録が十分か十分でないかという評価をいたしまして、記録が十分なもの、これは約二十三万六千枚でございます。ただ、記録の信憑性確認のために、もちろん抜き取り検査は実施しております。それから、記録が十分でないものは約十五万六千七百枚ほどございまして、これにつきましては、スタッドジベルの切断を行ったことがある施工会社が施工したものが約二千百七十二枚ございました。それから、その他の施工会社が施工したものが十五万四千五百七枚ございました。  以上でございます。 411 ◯上野議長 鹿内議員。 412 ◯鹿内議員 要するに、再処理本体のスタッドジベル、四十四万ですか、これはすべて絶対に大丈夫だということでの物的な確認をしたわけではないというぐあいに受けとめざるを得ないと思います。  次に、今回全員協議会を開いているわけでありますが、十一回の検討会の資料を私はいただきました。高さにしますと、全部で二十センチくらいの高さになりますかね。ただ、私はもう既に十二項目の問題を指摘しており──もっとあるんですが、限られた時間、二十分ではできないんですね。やっぱり、改めて議会とのやりとり──説明と同時に質疑応答、さらには、こういう状況では、市町村長会議あるいは原子力政策懇話会においても時間的にかなり無理だと私は思うんですね。やっぱりそれは、一度ならず二度三度とやるという姿勢を持つべきだと。のみならず、一般県民に対しての説明の場を設けるべきだというぐあいに思うんですが、これは知事と国にそれぞれ見解をお尋ねします。
    413 ◯上野議長 知事。 414 ◯三村知事 三月三十一日に日本原燃さんから再処理施設の総点検に係る報告がございまして、翌四月一日に経済産業省原子力安全・保安院から、同社が実施した品質保証体制点検結果報告書に対する国の評価について、それぞれ県に対して報告が行われました。  県といたしましては、再処理施設の健全性及び日本原燃株式会社品質保証体制の問題については、県民を代表いたします県議会議員の御意見を伺っているところであり、これから市町村長の御意見、青森県原子力政策懇話会の御意見を伺っていくこととしており、これらの御意見等を伺いながら慎重に判断してまいりたい、そういう思いでございます。 415 ◯上野議長 薦田審議官。 416 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 ただいまの件でございますけれども、当方といたしましては今後ともいろんな場を通じまして御説明をしていきたいと思っております。この後どういうふうにやったらいいのか、どの場でやればいいのかにつきましては、今後県と御相談をしながらやっていきたいというふうに思っております。  なお、もし議員の方からこれについて別途教えてほしい、あるいはこれに答えてほしいということでございますと、実は今回の検討会におきましては、オブザーバーといいますか、傍聴者の方からやっぱり質問なんかが出ておりまして、そういうものにつきましては、実は当方で取りまとめまして、それにお答えしたものをつくり、当方のホームページなんかに回答を載せておりますので、そういう形での御回答というのもあり得るのではないかと思っております。これは御参考までにと思っております。よろしくお願いいたします。 417 ◯上野議長 鹿内議員。 418 ◯鹿内議員 知事にもう一度お尋ねします。  いろんな段取りを踏んで知事の見解がまとまった時点で、それは日本原燃、国に伝える前ということですが、まとまった時点で、再度、議会に対するこういう協議会なり臨時議会なりが必要だと思うんですが、それに対する考え方をお尋ねします。  それから、一般県民対象の説明会、これは国の責任でやるべきだと思うんですね。新潟での東電の不正疑惑については、国が主催して、地元柏崎と刈羽ですか、やっているわけですから、本県においても、六ヶ所はもちろん、県内何カ所かやるべきだと思うんですね。  それからもう一つは、先ほど申し上げたように、きょうのやりとりだけではできない、今後もしこういうやりとりの場がないとすれば私は文書で国にお尋ねしたいと思うんですが、それに対しては文書で御回答いただけますか。それぞれお答えいただきます。 419 ◯上野議長 知事。 420 ◯三村知事 現在もこうして、県民を代表いたします県議会議員先生方の御意見を伺っているところでございます。その発言内容をお伺いしながら、また慎重に判断していきたいと思っています。 421 ◯上野議長 薦田審議官。 422 ◯薦田原子力安全・保安院審議官 一般県民等への御説明ということでございますけれども、皆様への御説明の仕方につきましては、こういった場での説明だとか、あるいはパンフレットによる方法であるとか、あるいは原燃が行っておられるような個別訪問とか、いろんなものであるわけでございまして、これまで各地においてさまざまなものが行われてきているというふうに承知しておるところでございます。  保安院といたしましては、こういった実例を踏まえまして、どういう形で地域の皆様方にお伝えしていくのがいいのかにつきましては、県あるいは村と相談していきたいと考えております。  なお、今もう一つ御質問がございました文書でということでございますが、文書でいただけましたなら──ただし、今は、いただきましても、その方に返すという形ではございませんで、それを取りまとめまして、保安院といたしましてそれに対して答えをつくり、それをホームページに載せるという形でお返ししているというところでございまして、一般から来たものに対して一つ一つその方に文書でお返しするという形では行っておりません。御了承いただければと思っております。 423 ◯上野議長 以上で質疑は終了いたしました。  これをもって議員全員協議会を終わります。 午後四時三十分閉会               記録担当職員  小 野 恭一郎                       田 辺 正 和 Copyright © Aomori Prefecture, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...